電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第106回

東京コスモス電機(株) 代表取締役社長 高橋秀実氏


白河、中津、中国で生産増強
自動車、ソーラーなどエコ注力

2015/1/30

東京コスモス電機(株) 代表取締役社長 高橋秀実氏
 東京コスモス電機(株)(神奈川県座間市相武台2-12-1、Tel.046-253-2111)は、1957(昭和32)年に産業機器用可変抵抗器の専門メーカーとして操業を開始した。76年には自動車用電装品の量産を開始し、2010年には無線モジュールの生産に踏み込むなど、電子部品メーカーとして着実に成長してきた。
 主力の可変抵抗器(ポテンショメーター)は、従来の普及品に代わり、車載、通信機、電源、空気清浄機向けなどに好調に推移している。一方の主力である車載用電装品では、自動車エンジン制御の吸気系センサーやパワーステアリング、水上バイク用非接触センサーなどが好調である。排ガス規制に対応する非接触角度センサーでは技術革新が続き、主として四輪用は国内、二輪用は中国で工場増強に踏み切る計画だ。
 一方、M2M通信用モジュールはIoT時代に向けて、新製品を投入している。同社を率いる代表取締役社長の高橋秀実氏に話を伺った。

―― 15年3月期の業績見通しについては。
 高橋 14年3月期は売上高75億円の実績であった。15年3月期の上期は大口取引先の生産調整などで減収となったが、下期に入り車載用電装部品、可変抵抗器とも受注が回復し、通期では3%程度の増収を見込んでいる。また中長期的には100億円の売上を目指している。

―― 現状の生産体制については。
 高橋 神奈川県座間市に本社機構があり、技術開発や生産管理、品質保証などのヘッドクオーターになっている。国内には3カ所生産子会社がある。会津コスモス電機は可変抵抗器、トーコスヒーター、車載用電装品を生産している。中津コスモス電機は、半固定可変抵抗器(トリマポテンショメーター)の主力工場で車載用電装部品も生産している。中津では需要の強い小型トリマの生産能力を大幅に強化する計画だ。白河コスモス電機は車載用電装部品の主力工場で、非接触センサーの大口受注を受けて専用工場の建設を計画している。また、海外では中国に2カ所の工場を持っている。広州市では主に民生用可変抵抗器、煙台市では車載用電装部品やアルミヒーターを生産している。今般、二輪、四輪用電装部品を受注したので、広州市に独資の製造会社を立ち上げ、将来的には既存の広州工場とのシナジー効果を視野に入れている。

―― 環境、安全対応製品開発を前面に打ち出していますね。
 高橋 そのとおりだ。非接触角度センサーはホールICを使用し、独自の磁気回路設計を駆使することで、ノイズがほとんどなく長寿命という特徴がある。エンジン制御などに使用することで、排ガス規制などに対応できる。また、安全運転に必要なパワーステアリング向けなど加え、次世代自動車用電装部品や農業機器向けも開発している。警察や消防など公共安全システム用途の無線機向けに開発したP'GRIDシリーズはポテンショメーター、エンコーダー、コードスイッチで日米中の特許も取得し、海外を含む主要な無線機メーカーの高い評価を受け、新規採用が続いている。トリマポテンショメーターは、クラウドサーバー用電源向けなどに加え、車載用安全装備のコーナーセンサー、室内騒音制御システム用途の採用が決まり、また環境関連ではPM2.5対応の空気清浄機に使われる埃センサーや太陽光発電に使われるパワコン用電源向けが順調で、本年上期中に中津コスモス電機で生産ラインの増設を進めている。

―― M2M通信用モジュールの育成に取り組んでいますね。
 高橋 これは政府のICT戦略を背景にIoTを実現する製品として育成していく。当社の新製品TWE-LITEは超小型・省電力・取り扱いやすさなどの特徴があり、産業用のみならず教育機関や個人からの引き合いも増えている。この製品はTOCOSワイヤレスエンジンと呼ばれる無線機能付きマイコンモジュールである。長い通信距離と低電力消費が特徴で、工場内などのノイズの多い場所でも安定して作動する。強力な32ビットマイコン、無線送受信回路、フラッシュメモリーを小型パッケージに収めているので、ワイヤレスエンジン1つで様々な機能が実現できる。モジュール単体売りだけでなく、セット商品で売る手法と営業力の強化が課題と考えている。

―― さて、この会社の良いところは。
 高橋 お客様のニーズに合わせた製品を、タイムリーに開発できることにあると考えている。製販開が有機的に結びついたワントーコス体制で、ユーザーの信頼を得られる製品を提供していくことで会社の存在意義を高めていく考えだ。


(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
(本紙2015年1月29日号10面 掲載)

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