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第142回

Hestia Power Inc. 総経理 李傳英氏/マーケティング/セールスマネージャー 楊雅嵐氏


フルSiCをワンチップ内に集積
5年後に業界トップ5入り目指す

2015/10/23

瀚薪科技股※(=にんべんに分)有限公司 総経理 李傳英氏/マーケティング/セールスマネージャー 楊雅嵐氏
 瀚薪科技股※(=にんべんに分)有限公司(Hestia Power Inc.、台湾新竹市)はSiCウエハーを使い、世界で初めて1200V対応のMOSFETとダイオードをワンチップに集積化した。従来のシリコン(Si)ベースのパワーデバイスとは異なる構造のチップを開発し、業界に驚きを与えた。フルSiCとも呼ばれている製品よりも小型化ができ、コスト削減に寄与する。「5年以内にはSiC業界でトップ5入りしたい」と意欲を語る総経理の李傳英(Chwan-Ying LEE)氏ならびにマーケティング/セールスマネージャーの楊雅嵐(Amanda Yang)氏に今後の事業展開を聞いた。

―― 会社紹介から。
 楊 2013年に台湾の研究機関である工業技術研究院(ITRI)からスピンアウトし、ワイドバンドギャップ(WBG)のパワーデバイスに特化したファブレス企業として発足した。従業員は現在18人で、そのほとんどがエンジニアである。

―― SiC基板上にMOSFETとダイオードを集積化したということですが、その狙いは。
 李 現在コマーシャル段階にあるフルSiCと呼ばれるモジュールは、ダイオードとMOSFETが別々にパッケージングされている。当社が開発した製品は両チップを集積化しているため、1パッケージで済む。小型化ができ、信頼性も向上する。さらにはパワー効率も上がり、最終的にはコスト削減につながる。現状で、1200Vで60A対応の製品を供給できるのは当社だけだ。

―― 量産時期ならびに生産は。
 李 早ければ16年後半を見込んでいる。我々はチップのデザインを手がけ、生産は台湾にあるファンドリーを活用する。パッケージングも台湾企業を活用する。ウエハーは現在4インチを採用しており、日系企業から調達している。今後需要が拡大し、欠陥密度の少ない6インチウエハーが安定して供給されるようになれば、採用を検討することになろう。
 すでに当社は、SiCベースのショットキーダイオードならびにMOSFETをそれぞれ量産している。顧客ニーズに応じて単独製品で出荷したり、いわゆるフルSiCモジュールとして供給も可能だ。
 SiCチップは特殊な製造プロセスが必要になるが、我々は製造プロセスのこともよく理解しており、常にファンドリー先とはコミュニケーションを絶やさず良好な協力関係を構築している。製造歩留まりを向上させるため、設計段階から様々に工夫している。

―― パッケージ材料は大丈夫ですか。
 李 175℃までの温度保証に限っているので、現状では高耐熱のコンパウンド樹脂でしっかりとモールディングすれば大丈夫だ。今後200℃以上のジャンクション温度での安定動作保証が求められてくれば話は別だが、現状のサプライチェーンの見直しを含めて、ケースバイケースで対応したい。材料費も相当高くなるため、様々な技術課題を克服する必要があるとみている。

―― 主なアプリケーションについて。
 楊 既存のSiCデバイスは、DC/DCコンバーター向けやパワーサプライ製品をはじめ、モーター駆動、太陽電池向けインバーター用途などに一部出荷している。

―― 車載用途への展開は。
 楊 すでに中国の自動車メーカーとは一部取引が始まっている。日系自動車メーカーなどにも現在アプローチしている。将来大きな市場になることは間違いないであろう。

―― GaNの開発状況を教えて下さい。
 李 基本的な製造プロセスは確立している。しかし、基板材料を含めて現状では業界全体のサプライチェーンが整っていないため、早くても16年後半ごろのサンプル出荷になるだろう。現在は6インチのGaN on Si基板を採用している。SiCとうまくすみ分けを図りたい。おそらく600Vを境に別れ、600V以下で200~400V耐圧を中心に対応した製品はGaNになり、それ以上はSiCがカバーするだろう。
 GaNの主な市場はDC/DCコンバーターやワイヤレス充電器向けなどで立ち上がるとみている。

―― 5年後の事業イメージについて。
 李 SiC市場は現在まだパワーデバイス全体の1%にも満たないが、20年ごろには環境意識の高まりや省エネ効果が大いに期待されるWBGのパワーデバイスに需要がシフトして、10%ぐらいにまで拡大し、約20億ドル規模のマーケットを形成すると見ている。その時点で世界のトップ5入りを目指したい。
 現状では自社ブランドを立ち上げたばかりであり、他社へのライセンシー供与といったビジネスモデルは考えていない。

(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年10月22日号4面 掲載)

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