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早稲田エルダリーヘルスとGE、「アユミ アイ」を拡大、数分で健康測定


手軽な歩行評価システムで“脱”介護、GEヘルスケア・ジャパンが“非”医療機器へ進出

2016/3/22

アユミ アイのデモの様子
アユミ アイのデモの様子
 (株)早稲田エルダリーヘルス事業団(東京都港区高輪4-24-58、Tel.03-5447-5470)とGEヘルスケア・ジャパン(株)(東京都日野市)は“脱”介護を目指し、歩行評価システム「AYUMI EYE(アユミ アイ)」の導入を進めている。アユミ アイは、健康に深く関わる「歩行」を通じて身体機能を測定するシステム。従来の健康測定では様々な運動を数十分かけて行う必要があったが、同システムではパッチをつけて数m歩くだけで測定できる。早稲田エルダリーヘルス事業団は、同社が展開するデイサービスでアユミ アイを拡大し、健康寿命を延ばす考え。

 アユミ アイの導入を進めているのは早稲田エルダリーヘルス事業団が展開する「早稲田イーライフ」。同施設はフィットネスジムのようにトレーニング機器があるデイサービスで、全国で93施設(FC含む)を展開している(2月1日時点)。早稲田イーライフは、早稲田大学エルダリー・ヘルス研究所で開発された介護予防プログラムを提供するなど科学的根拠がコンセプトの一つになっている。

 今回、早稲田エルダリーヘルス事業団が取り組むのは歩行の測定と改善。歩行は健康指標の一つとされており、65歳以上で歩行速度が速い人ほど余命が長く、歩行リズムが悪い人は転倒するリスクが高いというデータがある。

 GEヘルスケア・ジャパンが開発し、導入されたアユミ アイは、腰に数センチのパッチ状の測定器を装着して数m歩くだけで歩行のスピード、リズム、バランスなどを測定・数値化できるシステム。

 これまでも早稲田イーライフでは様々な形で健康診断を行ってきたが、身長、体重、握力、5m歩行、開眼片足立ちなど様々な項目を1人あたり20~30分かけて行わなければならなかった。アユミ アイの導入により1人1~3分で測定できるようになった。

 測定後はタブレットなどを通して『歩幅25.1cm』『リズム43点』『歩行周期ばらつき0.092秒』『総合評価点数53点』などに数値化し、一覧で見ることができる。

 さらに点数を上げるための改善方法も提示。例えば歩行リズムにおいては「長時間安定するように体力をつける」とし、リカンベントバイクやレッドコードを使ったトレーニングメニューなどを提案する。

 導入後、利用者からは、測定しても疲れない、測定日でも普段と同様のトレーニングができる、結果が点数になるので理解しやすい、点数が上がることでトレーニングのモチベーションが上がるなどの声が挙がっている。

 施設側としては、最新機器の導入によるPR効果や、測定時に施設内のレイアウトを変更する必要がなくなったこと、測定数値の入力作業が劇的に減った、測定結果の説明が簡易になったことなどのメリットがある。

 開発したGEヘルスケア・ジャパンによると、アユミ アイにより、会社のあり方が変わったという。これまで同社は、病院向けの医療機器の開発を主軸にし、開発には3年以上かけていた。今回、デイサービスという病院以外で利用される“非”医療機器を開発したことで開発分野が広がった。さらにアユミ アイは3カ月で開発したことから、効率的な開発もできるようになった。

 アユミ アイは、現在早稲田イーライフの直営11店、一部急性期病院など導入個所が限られているが、2月から早稲田イーライフのFCオーナーに同システムの紹介を開始している。3月以降、早稲田イーライフのFC店でも拡大していくとみられる。

早稲田エルダリーヘルス事業団の筒井祐智社長
早稲田エルダリーヘルス事業団の筒井祐智社長
 早稲田エルダリーヘルス事業団は介護予防を掲げてできるだけ介護を必要としない体作りなどを進めてきた。同社代表取締役社長の筒井祐智氏は今回、アユミ アイを広めることで、「いつまでも自分の足で歩ける“脱”介護を目指していく」と抱負を語っている。
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