商業施設新聞
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第27回

(株)ウェディングボックス 店舗開発課課長 柴田悠也氏


首都圏ファッションビルを強化
若者に支持される店作り推進
首都圏で30店体制目標に

2016/5/17

(株)ウェディングボックス 店舗開発課課長 柴田悠也氏
 (株)ウェディングボックス(熊本市新市街4-4、Tel.096-324-5001)は、成人式に着る振袖のレンタル販売を中心とした「ふりそでMODE」を展開している。近年は首都圏への出店に積極的で、特に若者が集まるファッションビルでは異彩を放っている。同社の店舗開発を一任される店舗開発課 課長の柴田悠也氏に話を聞いた。

―― 貴社の経緯から。
 柴田 当社は熊本市で呉服店として創業した後の1985年に「ウェディングボックス」を開店し、主に婚礼衣装のレンタル販売を開始した。さらに、購入するのが一般的だった振袖のレンタルを開始するとこれがヒットし、九州を中心に専門店を出店していった。現在では、振袖に加え、卒業式の袴のレンタルや、一部振袖の販売も行っている。
 なお、振袖のレンタル専門店の屋号は、2014年に現在の「ふりそでMODE」に統一した。

―― 展開状況を。
3月18日にオープンした「ふりそでMODE 吉祥寺パルコ店」の外観
3月18日にオープンした
「ふりそでMODE 吉祥寺パルコ店」の外観
 柴田 30店を展開している。このうち19店は九州を中心とした西日本に出店しており、近年は首都圏の出店を強化している。
 今春には吉祥寺パルコ、セブンパークアリオ柏、イオンモール福津の計3店をオープンし、今期(16年6月期)の新規出店は12店となる見通しだ。
 今後も首都圏の出店を強化する考えで、首都圏で2~3年後に30店体制、将来的に100店体制を構築する目標を掲げている。

―― 出店立地は。
 柴田 成人式の会場へアクセスしやすい駅の商業施設や、地方では郊外型SCなど地域の一番店に出店している。ターゲット層が成人を迎える前の年齢であるため、10代の若い女性が来店するブランド力のあるファッションビルへの出店が最もふさわしい。
 また、ヘアメイクを提携するセットサロンや美容院で行うため、これらが近くにあることも出店の条件となる。

―― 店内や店舗デザインの特徴は。
 柴田 店内には、着付けや商談スペースのほかに、前撮りが行えるフォトスタジオも併設している。
 店舗デザインは、白とピンクを基調にヨーロッパの洋館をイメージし、非日常的な空間を表現。従来の呉服店のイメージを払拭するため、着付けスペースは畳ではなくカーペットを採用しているほか、家具や什器は当社の会長がこだわりをもって直接海外に買い付けに行くなど、若い女性に“かわいい”と感じてもらえる店づくりを心がけている。

―― 店舗の広さは。
 柴田 スタジオや振袖を置く広いスペースが必要であるため、店舗の区画面積は約40坪が理想的だ。郊外型ではこのような広い区画を確保しやすいが、都心の商業施設では20~30坪が現状だ。都心でも広い区画を確保できるよう努めたい。

―― 他社との差別化は。
 柴田 ファッション性に特化した振袖を豊富に揃えている。当社オリジナルの振袖や小物もあり、デザインやコーディネートには定評がある。イメージ写真の撮影でも、若者に人気のアーティストやファッション誌のモデルを起用するなどモデルの選定に力を入れ、若い女性が憧れを抱くようなイメージを大切にしている。
 さらに、着付けや接客、カメラマンなどのスタッフはファッション感覚が優れた若い女性を積極的に採用している。成人を迎えるお客様と同じ目線でスタッフが接客することで、会話が弾み納得のいくコーディネートや撮影ができる。

―― 若者の消費に元気がないと言われています。
 柴田 若い層の取り込みはどの館や店舗でも苦戦していると思う。特に当社は毎年お客様が異なるので、どのように取り込んでいくかが課題だ。ファッションビルでは館と連携し、モデルとの撮影会などのイベントを開催して集客に取り組んでいるほか、かわいいイメージキャラクターを店頭に置き、店名以外でも館内で認知していだける工夫を行っている。
 一方で、アパレル店の出店が減る中、我々の業態は出店のチャンスだと考えている。一生に一度の晴れ着には、家族が一団となって娘さんに投資するので、消費が少ない昨今でも売り上げは確保できている。館にとっても、目的来店する若い親子が多いので、集客装置としても貢献できていると思う。

―― 売り上げ目標など。
 柴田 当社は15年6月期で売上高21億円であった。婚礼衣装のレンタルやウェディング事業も含まれているが、「ふりそでMODE」が主力の事業として成長している。今後も出店を継続し、10年後には売上高600億円を目指している。
 お客様には、成人式でお付き合いした後、結婚する時に当社の婚礼衣装やウェディングを利用してもらうというのが理想的だ。そのためには、成人を迎える若い女性に支持される店づくりを大事にしていきたい。

(聞き手・今村香里記者)
※商業施設新聞2137号(2016年4月5日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.184

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