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日本泌尿器科学会 理事長 神戸大学大学院教授 藤澤正人氏


ロボット支援手術が腎部分切除に保険適応、年最大4200件見込む

2016/5/17

藤澤正人氏
藤澤正人氏
 日本泌尿器科学会は、4月から保険適応となったダヴィンチサージカルシステムなどを用いた「ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術」について記者会見を開き、この適応を推進してきた同学会理事長で神戸大学大学院教授の藤澤正人氏が解説した。ロボット支援手術の適応は、2012年の前立腺全摘除術に続き2例目。

 同学会をはじめ各国のガイドラインにおいては、T1a(腫瘍径4cm以下)といった小径腎がんについて、腎部分切除は制がん性において根治的腎摘除術と同等で、特に腎機能保持の面で有用であり推奨している。さらに、その際、阻血時間を短くすることで良好な腎機能の持続および、10年後がん発症率が大幅に低下することがわかっている。

 米国では、11年の部分切除は開腹手術とロボット手術がほぼ同じ件数だが、12年からはロボット手術が上回っている。日本では、開腹が53%、腹腔鏡39%、小切開8%だが、10年からロボット手術の症例が徐々に増え、14年に320例、15年に382例となった。

 保険適応に向けては、先進医療Bとして、14年9月から15年1月までに100例以上が実施され、その結果、腎阻血時間25分以内、および腎機能温存かつ根治切除達成率が91.3%となった。出血量などの安全性についても優位性が示されたことで、保険適応が承認され、ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術の手術費用は、70万7400円とされた。

 この設定について、学会の広報委員長で大分大学泌尿器外科診療科長の三股浩光氏は、ロボットの導入コストやランニングコスト、減価償却などがかかり、手術費用は開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援手術の順にかさむ。だが収益性においては、この開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援手術の順に低くなるという。しかし、続けて、「収益性が下がっても、ロボット支援手術でより良い医療が実現し、それを患者さんが望めば、医師、医療機関はそれをかなえてあげたい」と話す。

 藤澤氏は、ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術は開腹手術や腹腔鏡下手術と同様に一定のトレーニングと技術的経験を要するものの、短期間での習熟が可能であり、低侵襲、がんの根治性、腎機能温存を同時に実現しうる有用な術式として普及すると考えられると見通す。

 今後の推定件数として、RCC(腎細胞がん)全体の手術件数が年間1万4000件(15年実績)で、このうち治療効果において優位な部分切除術が40%5600件で、ロボット支援手術がこの50%に対応するなら2800件、さらに、すべての部分切除術が50%の7000件であればロボット支援手術は3500件、部分切除が60%に達するなら4200件と見込む。

 藤澤氏は、ロボット支援手術の次の適応拡大に向けた試みとして、これまでの腹腔鏡では困難とされてきた難度の高い腎門部腫瘍、T1b(4cm以上)腫瘍、完全埋没腫瘍に対しても、ロボット支援腹腔鏡下手術では、低侵襲で開腹手術と同等の腫瘍切除が可能であり、適応拡大につながると展望した。
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