商業施設新聞
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第33回

小田急電鉄(株) 生活創造事業本部開発推進部 課長代理 坪田敦氏


下北沢地区で新たな街づくり
鉄道跡地に商業、業務、住居整備

2016/6/28

小田急電鉄(株) 生活創造事業本部開発推進部 課長代理 坪田敦氏
 東京都渋谷区から世田谷区にまたがる小田急線代々木上原駅~梅ヶ丘駅間では、東京都による連続立体交差事業と、小田急電鉄の複々線化事業が一体的に進められている。これらの事業により生じる鉄道跡地利用(上部利用)として小田急電鉄では新たな街づくりを進める。小田急電鉄(株) 生活創造事業本部 開発推進部の坪田敦氏に開発の狙いなどを聞いた。

―― 事業概要から。
 坪田 鉄道が地下化されるのは代々木上原駅から梅ヶ丘駅間だが、我々が鉄道跡地を開発する上部利用は東北沢駅から梅ヶ丘駅近くとなる。2層程度の施設が立ち並ぶイメージだ。鉄道工事の進捗も踏まえ、順次着手する。
 初弾として3月に、世田谷代田駅周辺で10戸からなる賃貸住宅「リージア代田テラス」を竣工した。

―― どのような空間作りを想定していますか。
 坪田 長さ2km弱の駅間通路が世田谷区によって整備される。我々は店舗などを配置する。現在は、東北沢駅から世田谷代田駅間はまるで迷路のようだが、そこに直線的な動線が新たにできることで、街と一体化した回遊性が生まれる。 
 下北沢は元々街歩きを楽しんでいる方が多く、回遊性が高まることで、街の発展に寄与する。

―― 全体のコンセプトは。
 坪田 「街の賑わいや回遊性、子育て世代が住める街、文化」をキーワードに街に来る人、街に住む人それぞれに魅力的なコンテンツを持つ施設をつくる。下北沢は来街者向けの街としての面が目立つが、実際には居住者がかなり多い。地域の方が日常的に使えて、暮らしの質が上がる機能は大切であり、街の魅力を高め、幅広い層が楽しめる街にしたい。

―― 具体的なゾーニングはどのように。
 坪田 中心となる下北沢駅周辺は豊かな商業地なので、街を回遊してもらいながらショッピングを楽しんでもらう、『「シモキタ」ショッピングゾーン』、下北沢駅から東北沢駅間は地域に住まう人との生活文化を発信する『文化発信ゾーン』とする。地域の方々も集える、憩える施設を目指したい。
 世田谷代田駅周辺は、『世田谷ライフ発信ゾーン』として、ここの暮らしに誇りが持て、いい街に住んでいることを感じられるエリアにしたい。住まいを楽しんで欲しいという狙いもあり、リージア代田テラスは戸建て感覚で住めるテラスハウス形式とし、周辺の賃貸物件との差別化を図った。

―― 駅以外の商業施設のイメージは。
 坪田 個性が好まれる地域なので、ユニークな店舗を発掘していきたい。 

―― コアとなる下北沢駅の商業施設のイメージは。
 坪田 駅部分1階は主に鉄道施設、2階が商業施設。下にコンコースが見えて、上の吹き気抜けを取り囲むように、店舗を配置する予定で、MDを検討中だ。

―― 今貴社が力を入れている神奈川県・海老名駅の街づくりとは異なります。
 坪田 確かに海老名駅の街づくりとは異なると思うが、その重要度は高いし、成熟した街なので、次のステップのモデルになる。当社としても前例のない開発といえる。街の活力をいっそう引き出すことができれば、ほかの街にも応用できるかもしれない。新たなモデルを成功させていきたい。

(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2144号(2016年5月31日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.196

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