商業施設新聞
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No.574

CVSは三強時代


玄行 力

2016/9/20

 2011年12月、国内全店のam/pmが吸収合併先のファミリーマートに屋号を変えたことは今でも強く印象に残っている。あれから5年、このほど執り行われたサークルKサンクスのファミリーマートへのブランド転換1号店オープンセレモニーで、CVSの業界再編が想像以上に進んでいることを改めて実感した。

 サークルKサンクスは、北海道~四国地方(中国地方は岡山県と広島県のみ、九州地方は福岡県のみ展開)であれば街中でよく見かけるCVSであり、セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのビッグ3には及ばないが全国でも中堅の店舗数を誇っていた。このような有力CVSでさえも統合されてしまうのが、今のCVS業界である。

 そういえば、地元で時々利用していた名古屋地盤のココストアも閉店しており、今年8月にはこれもファミリーマートに全店が業態転換していた(地元にあったココストアは閉店後に不動産屋になっていたが)。さらに7~8年前はよく見かけたSHOP99も11年までにローソンストア100となっている。業界中堅のスリーエフも、ローソンとの資本業務提携で90店ほどがローソン・スリーエフに順次業態転換するため、その店舗数を減らそうとしている。

サークルKサンクスのファミリーマートブランド転換1号店となった「ファミリーマート晴海センタービル店」
サークルKサンクスのファミリーマートブランド
転換1号店となった
「ファミリーマート晴海センタービル店」
 ビッグ3は想像以上に勢力を拡大しており、地元では馴染みのCVSも数年後にはビッグ3のいずれかになっている可能性がある。特にファミリーマートは、サークルKサンクスと統合したことでセブン-イレブンに迫る店舗数を手にしており、業界1位を目指して今後数年でさらなるM&Aを仕掛ける可能性は十分にあるだろう。

 ローソンもこのまま3位に甘んじているわけもなく、ファミリーマート追撃に向けた店舗拡大策の中でM&Aを推進することもあり得る。8月、ローソンはポプラと共同運営本格化のための契約を締結しており、9月をめどに新会社・ローソン山陰を設立。ポプラが運営するコンビニのうち、ダブルブランド店「ローソン+ポプラ」への移行を希望する店舗とエリアFC事業を開始した。
 王者のセブン-イレブンは国内で唯一店舗を出店していなかった沖縄県への出店を2~3年後に行うほか、JR西日本と提携して同社の売店キヨスクをセブン-イレブンとして業態転換するなど、様々な施策で独走を図っている。

 今回のサークルKサンクスの経営統合を目の当たりにして、今後も勢力を拡大していくことが予想されるビッグ3を相手に業界内で生き残るには、今まで以上に特徴のある売り場づくりや他業界とのコラボなどの施策を講じる必要があると思い知らされた。
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