電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第202回

「自分がワクワクして作り上げたものが、世に出ていく喜びをもっと知ってほしい!!」


~グローバルニッチNo.1のセンサーメーカー、オプテックスの小林徹社長が語る言葉~

2016/9/30

 「学生の時、大きな挫折を経験して、自分の人生の最大の喜びは、ワクワク、ドキドキできることにチャレンジすることであると知った。こうした思いを今の若い人たちに伝えていきたい」

オプテックス 小林徹社長
オプテックス 小林徹社長
 静かに穏やかな眼でこう語るのはオプテックス(滋賀県大津市)の取締役会長兼代表取締役社長の小林徹氏である。小林氏は京都の山科で生まれ、県立洛東高校を出て同志社大学工学部に進み、機械工学を学んだ。卒論は「エンジンの液的燃焼」というものであった。卒業してすぐには大阪の企業に入社し、その後、京都の竹中電子工業に転職、分社化された竹中エンジニアリングで勤務することになる。

 何しろ7人しかいない会社であるから、売り上げゼロからのスタートであった。その後、社員は約50人に増加、売り上げも7億円まで行ったが、31歳で独立を考え、オプテックス設立に至るのだ。会社を命名する時には自分の名前を付けない、地域名をつけない、を条件にした。遠赤外光の研究をしていた関係から、オプティカルテクノロジーという意味を持たせてオプテックスと命名した。1979年5月のことであった。
 現在は資本金27億9827万円、従業員数は連結1287人。IoT時代到来で注目されるセンサー企業の1つであり、国内外の注目を集め始めているのだ。

 「センサーは、赤外、レーザー光、マイクロウェーブなどを活用している。現在の事業比率はセキュリティーセンサー51%、FAセンサー20%、自動ドアセンサー16%、その他13%、海外売上比率は約70%となっている」(小林社長)

 オプテックスの強みは何といってもセンサーを知り尽くした技術力だ。光、電波、音、温度、加速度などすでに世の中に汎用化されたセンサを応用し、さまざまなセンシングテクノロジーの知識と特定の用途事業に特化したソフト開発力により、他社の追随を許さない製品を生み出し続けている。また、世界80カ国の事業展開を通してそれぞれの国の文化、自然環境、商習慣に合わせ込む現場力も武器となっている。

 セキュリティー関連は、海外市場において欧州を中心に空港、発電所、インフラといった重要施設向けおよび住宅向け屋外防犯システムの販売が拡大している。国内市場では防災施設向けの屋外用センサー付きLED照明の採用が進んでいる。お家芸ともいうべき自動ドア関連は、国内販売は安定的なシェアを保有するとともに、海外、特に欧米では大手メーカーへの販売増によりシェアを高めている。

 「今後も拡大が期待できるのは、生産現場での製品品質の向上に役立つ画像センサーや画像処理用LED照明などのFA事業だ。国内では自動車、電機、電子部品業界向けにLED照明が順調に伸びている。画像検査用の光源として検査精度・安定性の向上に寄与しているのだ。5月に画像処理用LED照明の世界トップシェアを保有するシーシーエス(株)がグループの一員に加わり、成長を加速していく」(小林社長)
 売上高は2009年のリーマンショック時には151億円まで落ち込んだが、その後急ピッチで回復し、15年度は277億円、16年度については320億円の大台乗せになる見通しだ。そして、19年度は連結売上高500億円達成を掲げており、このための成長戦略を打ち出し始めている。

 グローバルニッチNo.1を目指す、というのがオプテックスの基本的なミッションとなっている。セキュリティーセンサー、自動ドアセンサー、監視カメラ用照明などは世界トップクラスのシェアを獲得している。どこのマーケットに隙間があるかを常に意識し、そこに合わせ込んだ製品を企画することが、一番大切なことなのだと小林社長は強調する。

 「重要なことは“新しい”を生み出すことだ。大胆に未来を描きスピードを持って行動していく。一番偉い人は企画をやって成功した人だが、二番目に偉い人は敢然と企画にトライし失敗した人なのだ。私は管理野球はやらない。ルーズコントロールでいいと思っている。自由にやりたいことをやって、仕事を通しての自己実現を図る。こんなに幸福なことはないだろう」(小林社長)

 ちなみに、小林社長は最近の若い人たちを見ていてかなりコンサバになってきているとの思いが強いという。もっともっとダイナミズムがほしいともいう。平均年齢30歳の会社にしたいとの思いがあるが、最近は42歳以上に上がってきており、どうしても意欲のある若い人を入れて若返りを図りたいのだ。

 「琵琶湖の沿岸にあり、ヨットハーバーが望めるオプテックスという会社の環境は抜群なのだ。この素晴らしいロケーションの中で思いっきり仕事をしてほしい。若い人たちは失敗しても許されると私は真に思っている」


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。30年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『半導体業界ハンドブック』、『素材は国家なり』(長谷川慶太郎との共著)、『ニッポンの環境エネルギー力』(以上、東洋経済新報 社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)など19冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長 企画委員長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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