商業施設新聞
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No.576

I LOVE NY


松本 顕介

2016/10/4

 「ウエスト・サイド物語」「タクシードライバー」「スパイダーマン」など、ニューヨークを舞台にした映画は枚挙にいとまがない。高層ビルが建ち並ぶ摩天楼、様々なカルチャーや音楽、スポーツがあり、世界の政治経済の中心地でもある人種の坩堝。これだけの要素があるからこそ、様々な映画の舞台になるのも頷ける。この地に憧憬の念を抱いている人も少なくないだろう。小生もその一人である。

 8月30日から9月5日の日程で、本紙企画ツアーが実施された。ツアーはおかげさまで4回目を数える。過去3回はワシントン州シアトルとオレゴン州ポートランドの組み合わせだったが、今回はシアトルに代わってニューヨークとポートランドとなった。ついに来たかニューヨーク。最近、フードや雑貨・ファッションにおいて、ユニークでクールなライフスタイル業態を発信しまくり、有力ブランドが続々日本に上陸している。ライフスタイル東西対決! 心の中でこんな見出しが躍った。

 ちなみに小生の初ニューヨークは今から26年前、1990年12月のクリスマス。最初にマンハッタンの地を踏んだ場所が、悪名高き42丁目通りにあるバスターミナルだった。そこから街へ出ると、あまりよろしくなさそうな人々がたむろし、何とも言えない緊張感が漂う。だが、数多くの音楽やカルチャーが生まれている場に立っている、と思うだけでぞくぞくした。

 初NYから都合3回ほど訪れたが、空港到着後、まず最初にやらなければならなかったのがホテル探し。インターネットで簡単予約という時代ではないから、いつもホテル探しに翻弄されていた。ガイドブックを頼りに電話するも、まず1回でつながらないし、相手は早口で何を言っているのかわからない。理解するのに時間がかかる。大抵到着が夕方で、暗くなるにつれ少しずつ緊張も高まる。ホテルが決まれば空港からダウンタウンまでどう行くかも決めなければ。見るからに怪しそうな客引きがニコニコしながら近づいてくる……。

街はエネルギーに溢れている
街はエネルギーに溢れている
 時は流れ、二十数年ぶりのNY訪問は全くの苦労知らず。空港では現地ガイドが出迎え、ホテルの予約もダウンタウンに行く方法にも悩まない、ストレスフリーなのである(そりゃそうだ、ツアーだから)。ガイドが掲げる右腕を見ながらついていき、バスに乗り込んで1時間ほどすればホテルだ。

 ブルックリンからマンハッタンに架かるクイーンズボロブリッジに入ると、眼前には高層ビル群が広がってきた。ガイドさんが「左手に見える黒光りする建物はトランプタワーという超高級マンションで、以前は松井選手が住んでいました。今はマー君が暮らしています」という小ネタにどよめき、5番街のミッドタウンに並ぶ著名な高級ブティックや百貨店を目の当たりにした時は完全にお上りさんになっていた。仕事やプライベートでいくつかの都市を訪れる機会があったが、街に充満するエネルギーはここならではだ。

 翌日、朝起きて街を歩いてみた。ニューヨークは碁盤の目のようになっており、東西南北が掴みやすく、ビギナーでもわかりやすい。以前はデリでよく朝食をとったが、チェーン店が増えているような気がした。本音は地元のデリを使いたかったところだが、やや不安にかられチェーン店然の店に入った。旅でやや気が大きくなっている、システムがよくわからない、言葉が十分に通じていないなどの様々な要因で、注文したものがイメージしたものと大分乖離があった。

 しばらくぶりのニューヨークは以前と変わらない興奮を与えてくれるが、大きく変わったことは街がどこかきれいになり、ホームレスを見かけなくなったこと。なんでも、市が清掃回数を増やしたことが奏効したのだという。以前はゴミが散乱していた記憶だがそれがなくなり、臭いも鼻につかなくなった。

 また、日本であれば大型の再開発をすると、街ごと大きく変貌し導線も大きく変わることがあるが、ニューヨークは昔来たまま。だがつぶさに見てみると、真新しいビルも増えていたり、こまめな清掃で街がきれいになっており、当たり前だが街としては進化しているのだなと実感した。

 なおついでながらご報告すれば、機内の映画で「ゴットファーザーパート2」を観た。なぜならば少年時代のヴィトー・コルレオーネがイタリア・シチリアからマンハッタンに船で到着するシーンが印象的だから。
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