電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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No.7

関東化学(株) 取締役社長 野澤学氏に聞く(上)


半導体洗浄薬液の大手
岩手工場は草加に次ぐ規模 ジェネリック原薬量産へ新棟竣工

2016/10/14

関東化学(株) 取締役社長 野澤学氏に聞く(上)
 総合試薬メーカーとして知られる関東化学(株)(東京都中央区日本橋室町2-2-1、Tel.03-6214-1050)。幅広い分野向けの研究用試薬や電子材料、臨床検査薬、化成品を手がけるが、なかでも電子材料では日本初の超高純度薬品に加え、機能性薬品の大手メーカーとして、国内外の半導体メーカーに長年多大な貢献をしてきた。その機能性薬品の生産拠点の1つが奥州市に立地している。
 同市の江刺中核工業団地内にある岩手工場(岩手県奥州市江刺区岩谷堂字松長根31-3)は、奥州市誕生前の江刺市の時代に設立され、現在も東北・北海道地域の半導体工場向けに薬液を供給している。もちろん、半導体用薬液以外の製品も製造しており、今後は成長著しいジェネリック医薬品用原薬の本格量産もスタートする計画だ。そのための新棟も2015年11月に竣工している。今回は同社および岩手工場の現況を、野澤学社長に伺った。

―― 貴社のプロフィールを。
 野澤 総合試薬メーカーとして、5万品目以上の試薬をベースに様々な分野に展開し、あわせて電子材料や臨床検査薬、化成品を手がけている。

―― 半導体向けでは、数多くの機能性薬品をラインアップしています。
 野澤 洗浄液としては、CMP後洗浄液「CMP-Mシリーズ/CMP-Bシリーズ」、Cu/Low-k用ドライエッチング残渣除去液「DeerClean-LKシリーズ」。レジスト剥離液としては「JELKシリーズ」。金めっき液「Aurexelシリーズ」などをラインアップしており、国内外の大手半導体メーカーや電子部品メーカーへ供給している。また、FPDメーカーにはITOエッチングやIGZOエッチング液、Ti/Al積層膜の一括エッチング液など幅広い分野で機能性薬品をご使用いただいている。

―― 奥州市に立地している岩手工場では何を生産していますか。
 野澤 電子材料や超高純度の溶剤、酸・アルカリや有機試薬のほか、医薬品原薬にも取りかかっている。電子工業用薬品は、主に東北地区に進出している半導体やFPD工場向けの薬液を製造している。医薬品原薬は、15年11月に新棟を竣工し、この秋は本格生産に向けて準備中で、主に国内ジェネリック医薬品メーカー向けの原薬を生産する予定だ。

―― ジェネリック医薬品は、今後もますます伸びが期待できますね。
 野澤 そのとおりで、当社としてもそれを見込んで新棟の建設に踏み切った。競争は激しくなっているが、私どもの試薬を生産する技術と超高純度薬品の品質管理技術を駆使し、高品質な医薬品原薬の安定供給をコンセプトに考えている。

―― 岩手工場も含めた貴社の生産体制は。
 野澤 岩手工場のほか国内に5工場を有し、BCPの対応を取っている。その中でもメーンの工場は草加工場(埼玉県)で、一般汎用試薬や分析試薬、触媒や医薬品原料をはじめとした化成品および電子材料製品を生産している。
 岩手工場は草加工場に次ぐ規模で、主に東北や北海道に立地している半導体・電子部品メーカーが主要なお客様だが、一部は関東のお客様にも供給している。そのほか、三重工場(三重県)、岡山工場(岡山県)、大牟田工場(福岡県)もその地域性を生かして万全な供給体制で臨んでいる。

―― 草加では研究開発も行っていますね。
 野澤 草加工場敷地内には中央研究所があり、例えば電子材料分野ではお客様のニーズや蓄積したシーズを融合し、時にはお客様と協力して研究開発を進めている。また、研究所で得られた知見を各工場に展開しているが、各工場でもお客様の要望に応じて小スケールでの開発を手がけている部分もあり、役割分担はケースバイケースだ。

(聞き手・編集委員 甕秀樹)
(本紙2016年10月6日号8面 掲載)

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