商業施設新聞
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第49回

(株)関家具 クラッシュ事業部 ジェネラルマネージャー 森拓郎氏


立ち上げ3年で12店体制に
今秋は2店を出店
ニューヴィンテージで新しい価値提案

2016/10/18

(株)関家具 クラッシュ事業部 ジェネラルマネージャー 森拓郎氏
 家具の街として有名な福岡県大川市の家具メーカー、(株)関家具(福岡県大川市幡保201-1、Tel.0944-88-3521)が展開するインテリアショップ「クラッシュゲート」は立ち上げから3年を迎え、主要都市に現在12店を展開する。今秋も2店の出店を予定しており、今勢いのある店舗だ。同店では「クラッシュプロジェクト」という多様なジャンルの家具を集積し、様々な素材やスタイルを自由に組み合わせ、ギャップやユーモアのある空間を提案。この世界観、感性が既存のインテリア店にないオリジナリティを発揮し、他社との差別化を図っている。クラッシュゲート事業の戦略について、同社クラッシュ事業部ジェネラルマネージャーの森拓郎氏にお話を伺った。

―― クラッシュプロジェクトについて。
自由が丘店の店内
自由が丘店の店内
  当社のデザイナーが多様なコンセプトで新しいオリジナルブランドを立ち上げていくプロジェクトの総称で、2005年から開始した。個性のある多彩なブランドを生み出し、木の質感を生かしたナチュラル系ブランド「イージーライフ」、北欧のイメージを追求した「ノル」、古材や節の入ったナラ材などとスチールを組み合わせインダストリアルな雰囲気に仕上げた「ノットアンティークス」、主にオイルレザーを使用したソファブランド「タブー」など多岐にわたり、多種多様なテイストの組み合わせの妙が楽しめる。ラインアップが豊富なため、幅広いニーズへの対応力もある。

―― 家具製造卸の貴社が小売に参入した理由を。
  当社は48年にわたり家具を製造販売してきた。今後も「卸」の立ち位置は変わらず、さらにブランディングを強化し、会社を成長させていく上で直営店という存在は不可欠だった。また、「クラッシュプロジェクト」は多数のブランドを有しており、そこから生まれる新しい商品を提案するには自らの裁量の大きい自前の店舗が必要であった。こうした経緯で「クラッシュゲート」の展開を13年から開始した。

―― 売り上げも順調に伸ばしています。
  14年には関家具グループ全体で100億円を突破し、右肩上がりに毎年売り上げを伸ばしている。これは、常に新しいことに挑戦している結果だと自負している。例えば、今ではトレンドとなっている「ニューヴィンテージ」も当時は珍しく、斬新で受け入れられないのではとも言われていた。しかし、ミックスする楽しさや「古いものは好きだが中古品は嫌」という層などを取り込み、新しい価値を提案した。30~40代のニューファミリーを想定していたが、実際には幅広い来客につながっている。

―― 出店について。
  横浜・みなとみらいのコレットマーレ(横浜市中区)が1号店で、期間限定店でのスタートだった。以来順調に店舗数を伸ばし、特に、15年は出店ラッシュで6店と積極的な出店を行った。16年はすでに2店をオープンし、関西では初の路面店を構えた。10月には「ららぽーと湘南平塚」「阪急西宮ガーデンズ」への出店も控えている。

―― 都市型、地方郊外型モールなど、立地が多様です。
  基本的に関東、関西圏の大都市が多いが、まだ検証期間中で、駅立地、ファッションビル、モールなど立地に幅を持たせ、どこで強みを発揮できるか、マーケティングを行っている。多様なブランドを有しているため、立地、店舗によって構成を変えることができるのも特徴だ。さらに雑貨も加わるので、店によって顔ががらりと変わる。雑貨と家具は3対7の割合で、この比率が最適だ。
 価格帯も幅が広いため、例えばファミリー層をターゲットにしたモールでは、買いやすい価格帯の商品で構成し、高価格な商品はスパイスとして使っている。首都圏は狭いエリアに店舗があるが店ごとに商品が異なるため、回遊性も高められるメリットもある。なお、新店2店ではニューヴィンテージではなく北欧テイストを打ち出し、違ったイメージを打ち出す。

―― 店舗フォーマットは。
  個性の強いデザインの商品が多いので、それが映えるよう、内装はファクトリーのような無機質な雰囲気としている。ブランドの世界観を表現するのにちょうどいい広さとして、100坪程度を基準に考えているが、特に首都圏ではこの大きさを確保するのは難しい。50~60坪の大きさの店舗も開発していく必要がある。
 また、これも店舗展開をしてみての「気づき」だが、首都圏と地方では住宅事情もおのずと異なっているため、今後は小さい家具の開発も視野に入れなければならない。

―― 今後の展開は。
  もう少し直営で認知度を高めてから、いずれはFCで北海道や沖縄など遠隔地にもオープンしたい。まずは年に2~3店程度の展開を進めていく。その中でも首都圏をもう少し攻めていきたい。都内だけで4~5店くらいあってもいいが、場所の確保が難しくもある。そのために首都圏に即した商品、店舗フォーマットの開発が急務だ。
 4月にオープンした「なんばEKIKAN」は初の路面店で、関西旗艦店の役割を担っている。路面は初のチャレンジでありながら、安定した集客もあり自信につながった。路面店をいずれは関東でも出せればと思っている。
 また、カフェや雑貨店といった他業種とのコラボのお声もいただく。出店のタイミングなどが合わず実現していないが、新しいこと、面白いことにチャレンジしていきたいという思いがある。大川本店ではカフェも併設しており、ノウハウを積んで飲食併設店は実現したい。

(聞き手・編集長 松本顕介/大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2160号(2016年9月20日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.202

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