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第193回

日本電産サンキョー(株) 常務執行役員 RBT事業統括部長 福島訓氏


ロボ事業 5年間で売上倍増へ
FA向けにも展開へ

2016/10/21

日本電産サンキョー(株) 常務執行役員 RBT事業統括部長 福島訓氏
 日本電産サンキョー(株)(長野県諏訪郡下諏訪町5329、Tel.0266-27-3111)は、クリーンロボット製品で豊富な実績を持ち、FPD用搬送ロボットでは世界シェアの約7割を持つトップランナーだ。また直近はFA用途への展開など新たな取り組みも進めている。常務執行役員でRBT事業統括部長の福島訓氏に話を伺った。

―― 貴社のロボット事業について。
日本電産サンキョーのパネル搬送ロボット
日本電産サンキョーのパネル搬送ロボット
 福島 当社は1946年にオルゴールの製造販売を事業として操業した。そのオルゴールを生産するために工作機械などを内製したことが当事業部門の前身となり、やがて業界に先がけスカラロボットを開発、81年から電子機器などの組立用途などで外販するようになった。その後、液晶パネルや半導体ウエハーの搬送ロボットといったクリーンロボットに特化する体制にシフト。そしてFPD市場の拡大にあわせて当社のロボット事業も拡大していき、現在、第6世代以上の液晶パネル用搬送ロボットでは世界シェアの約7割を有している。

―― 製品の強みは。
 福島 当社では、製品としてモーターを製造・販売しているほか、ドライバーやコントローラーも開発しており、産業ロボットを展開するうえで必要な重要部品を自社で保有している。そのため、顧客ニーズへの対応力が高く、高精度、高速、高信頼性の製品開発につながっている。加えて、FPD市場が立ち上がった当初から製品を供給していることから、お客様のニーズを熟知し、最新の技術も対応できる長年のノウハウも有している。

―― 製品の需要動向は。
 福島 直近はFPD関連の積極投資が続く中国市場での伸びに加え、有機EL関連の投資が活発化していることなどを受け、当社製品の需要も好調に推移している。2015年度の産業用ロボット製品の販売は前年度比約40%の増収となり、過去最高を記録した。16年度も販売は好調に推移しており、前年度比15~20%の増収を見込んでいる。

―― 開発面について。
 福島 FPD搬送用では、10.5世代や11世代といった大型基板への対応とともに、有機EL向けの需要増で真空ロボットのニーズが高まっているため、その開発も強化している。ウエハー搬送用では次世代装置向けの対応を進めている。また、将来的な市場の変化を見据え、クリーンロボットだけでなく、一般的なFA関連のロボットへの展開も視野に入れている。その1つとして液晶モジュール製造工程で使用するロボットを開発し、すでに一部のお客様で採用いただいている。こういった事例を積み上げながら、急成長が期待されるFA市場において製品の用途拡大を進めていきたい。

―― そのほかの取り組みは。
 福島 IoT/M2M、インダストリー4.0といった次世代製造システムへの対応も積極的に進めている。例えば、当社では「PMシステム」というロボットの状態を監視し異常があれば通知する予防保全システムを開発しており、こういった技術を今後さらに開発していきたい。

―― 生産体制は。
 福島 国内では伊那事業所(長野県伊那市)、海外では中国・平湖市にある「日本電産三協(浙江)有限公司」と台湾・高雄市にある「台湾日電産三協股フン有限公司」でロボット製品を生産している。直近はフル生産が続いており、FPDの市場動向や先に述べたFA関連の進捗なども考慮しながら増強を検討する段階に入りつつある。

―― 今後の抱負を。
 福島 当社の主力市場であるFPD市場は成長が緩やかになりつつあるが、その一方で競争は年々激しさを増している。そのなかでFPD用搬送ロボットにおいて高いシェアをいただいている当社としては、これまで以上にお客様のニーズに応えることで、シェアをさらに拡大していき、今後もトップランナーであり続けたい。そして、そのFPD向けの事業をベースに、ウエハー搬送ロボットの事業拡大やFA関連ロボットへの展開を進めることで、ロボット事業を成長させていきたいと考えており、20年度までにロボット事業の売上高を15年度比2倍にすることを目指していく。

(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2016年10月20日号6面 掲載)

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