電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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No.8

関東化学(株) 取締役社長 野澤学氏に聞く(下)


固い地盤と良質の水が決め手に
奥州市と「鹿つながり」 ILCに大きな期待

2016/10/21

―― 岩手工場(岩手県奥州市江刺区岩谷堂字松長根31-3)の沿革を教えて下さい。
関東化学(株) 取締役社長 野澤学氏に聞く(下)
 野澤 1984年に開設した。奥州市(当時は江刺市)に立地した理由は、近隣自治体に岩手東芝エレクトロニクス(現ジャパンセミコンダクター)や富士通岩手工場(現デンソー岩手)など半導体の有力なお客様が進出していたことが大きいが、実は用地選定の時点では、近隣の北上市や金ケ崎町も候補地として検討していた。その中から江刺市を選んだ理由は、当時の及川市長から熱心な誘致を受けたことと、地盤が固く、水の質も良く、半導体向け薬品の工場として最適である点が決め手と聞いている。
 余談ではあるが、当社のブランドマークは赤色のベンゼン環の中にChemicals、Industrial Products、Collect、Associateの頭文字を取って「CICA」マークを使用している。もともとは鹿のデザインを使用していたが現在は「CICA」マークになった。
 奥州市には「江刺鹿(しし)踊り」という伝統行事があり、当社と奥州市は「鹿つながり」といえる。

―― 実際に立地してよかったですか。
 野澤 大変良かったと思っている。先述のように地盤の固さや水の質の高さが当社の工場に適しているうえ、東北道のインターに近いなど交通の便も良い。新幹線だと東京から約2時間で、日帰り出張が十分可能だ。そのうえ、当社の立地している江刺中核工業団地は環境が良く整備されており、坂道にロードヒーティングが設置されているなど、立地企業を支援する様々な取り組みがなされている。さらに、行政の優遇策も手厚く、当社も利用させていただいている。
 また、工業団地に立地している企業が集まって組織している企業協議会は、モノづくりや安全などに関する勉強会を定期的に開催するなど素晴らしい活動を推進しており、企業同士の交流も盛んだ。

―― 地元で採用した人材はいかがですか。
 野澤 まじめで粘り強い人材が多く、大変助かっている。生え抜きの人材は順調に育っており、今や工場長を任せられる人も出てきている。これからも良い人材を確保していきたい。

―― 行政に期待することは。
 野澤 奥州市をはじめとした自治体が誘致に力を入れている大型加速器の国際リニアコライダー(ILC)には大変期待している。当社は研究用試薬も手がけており、立地が正式に決まれば、当社にとっても追い風になる。そのうえ、奥州市を中心としたこの地域に世界から数多くの研究者が集結し、つくば研究学園都市のような国際研究都市になることも期待できる。
(聞き手・編集委員 甕秀樹)
(本紙2016年10月13日12面 掲載)

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