電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第200回

SEMIジャパン 代表 中村修氏


今年で40周年!セミコン・ジャパン2016開幕へ
合言葉は「コネクト」

2016/12/9

SEMIジャパン 代表 中村修氏
 半導体製造装置・材料業界に関する世界最大級のイベント「SEMICON Japan 2016」が、2016年12月14日(水)~16日(金)の3日間、東京ビッグサイト(東展示棟、会議棟)において開催される。SEMIにおける16~17年のメーンテーマは「CONNECT(つながる)」。半導体を取り巻く世界規模でのつながりと日本の強さを、SEMICON Japanの会場で見て、聞いて、感じてほしい。SEMICON Japanは今回の開催で40周年を迎える。40回目とは、決して過去を振り返るためのモニュメントではない。SEMICON Japanの新たな成長と進化に向けての起点、あるいは通過点とも表現することができる。次代のSEMICON Japanに向けて、第40回の展示概要と見どころをSEMIジャパン代表の中村修氏に伺った。

―― まずはカンファレンス関連の企画・構成から。
 中村 「スーパーシアター」と題し、基調講演クラスの9つのフォーラムを3日間で開催する。初日、オープニングのキーノートスピーチは、IBMと筑波大学助教でデジタルネイチャー研究室主宰の落合陽一氏が講演する。2ブロック目は業界のビジネス動向で、半導体代表として東芝、ファンドリー代表としてはTSMC、そして今回、電子部品業界から村田製作所を招聘した。筑波大の落合氏はまだ20代。20代がキーノートスピーチを担うことで、今後、若者が半導体業界を担っていくことを示唆するメッセージを込めた。一方、村田製作所の講演は、日本電子デバイス業界のこれまでにない変貌を象徴するものである。3ブロック目はお馴染みの市場動向。IHSの南川明氏とともに、SEMI、SEMI台湾、VLSI Researchが顔を揃え、エレクトロニクス業界の進化の方向性を分析・予測する。
 2日目はアプリ動向を主軸に構成した。日米独による工場のIoT化からスタートを切る。日本からはファナック、米国からはGE、ドイツからはシーメンスが登壇する。2ブロック目は、今後のデバイス需要を牽引するADAS(先進運転支援システム)の世界が展開される。本田技術研究所に引き続き、エヌビディア、ルネサス エレクトロニクスが講演を行う。3ブロック目は、IoTの進化に伴い、不可欠となるサイバーセキュリティーの課題に取り組んだ。日米のITトップ企業が、製造業におけるサイバーセキュリティーの現状と課題、ビジネスへの展開を語る。
 そして3日目。最終日は技術トレンドを中心に構成した。朝のブロックでは、SEMICON Japan初の「2020東京オリンピック」をテーマに設けた。午後からは微細化を中心とした製造技術、またIoT産業を底辺から支える半導体デバイスの進化を配置した。

―― 3年前から始まった「World of IoT」が楽しみだ。
 中村 この企画はより充実感が増してきた。出展社数が今回、新規で30社、トータルで75~80社がブースを構えることになる。ロボットやメガネ、ヘルスケア、3Dプリンター、セキュリティーなどに加え、ウエアラブルなフレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス関連の出展も始まった。
 具体的にはインダストリアルIoT分野、自動車・パワー分野、モバイル・ネットワーク分野、センサー・MEMS分野、フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス分野の世界が展開される。かつてのSEMICON Japanでは想像すらできない出展企業が会場で一堂に会することになる。まさに今回の主テーマ、CONNECTの時代が到来しつつあることを実感する。業界ジャンルの壁は崩壊し、半導体を基軸にしたIoTのサプライチェーンが一堂に会する場として、各企業が様々なかたちでつながり始めた。

―― 40周年を記念するイベントは。
 中村 「MIRAI GAKKO」を開校する。半導体産業の次代を担うのは、やはり若者。若手社員や学生を応援し、人材の育成を目的としたGAKKOを開校することにした。カリキュラムは全部で6つ用意した。1つはテック・キャンプ。3日間を費やし、会社の垣根を超えて、若者同士が切磋琢磨しあう。注目はハッカソンによる集中講座で、共創の手法と効果も体験してもらう予定だ。また、業界エグゼクティブとの直接対話も実現させる。
 2つ目はアカデミア。その名のとおり、全国各地の大学による研究開発の成果発表の場になる。40周年に合わせ、40校の招聘を予定していたが、結果的には43校が参加することになった。3つ目のカリキュラムが未来カレッジ。大学生や大学院生を主体に、半導体業界の可能性を感じてもらう。4つ目が未来プログラムで、若手技術者に半導体工程の全体像を説明するほか、その体験や意欲を共有してもらう。そして5つ目がThe高専。高等専門学校の学生たちが、ユニークな研究成果を発表する。最後に学生や若手社員、ベンチャー企業の交流会も、6つ目のカリキュラムとして用意した。MIRAI GAKKOを卒業した若者たちには、半導体業界の次期リーダーとしての第1歩を踏み出してほしいと願う。

―― 40回の歴史を振り返る展示は。
 中村 40周年は記念碑になるが、次なる進化のための通過点でもある。半導体産業人協会(SSIS)の協力を仰ぎ、SEMICONの歴史と半導体の歴史を展示する準備を進めている。前者は写真が中心になるが、その名のとおり、これまでのSEMICONの開催風景を追う。後者はSSISの協力を得て、日本の半導体イノベーション50選を展示する計画だ。

―― 200mm対応装置・材料が注目を集めている。
 中村 IoTの普及に伴い、今後、主役となる半導体は、センサーやセンシングモジュールになる。その量産ラインとして、200mmファブの復活に熱い視線が寄せられている。SEMIジャパンでも200mmファブの動向はウオッチングを継続していて、今後、ますます勢いを増す気配だ。この動きに配慮し、「持続可能なモノづくりパビリオン」を会場内に設置する。
 200mmファブの投資軽減の視点からは、中古装置が頭に浮かぶが、リファービッシュ業界はすでにその地位を確立するに至っている。ただ、生産ラインそのものは、装置だけで構成することはできない。検査機器を含む様々な部材が必要になる。これら200mm対応の周辺機器、搬送機器、検査装置などをこのパビリオンで、また会場全体からも見てほしい。半導体業界の進化の方向性が変わりつつあるのを感じる。

―― 微細化一辺倒から、多様性が生まれてきた。多彩なアイデアが生まれてくることが期待され、面白くなってきた。
 中村 将来を見据えた、興味深いアイデアを持つベンチャー企業も多いが、難点はビジネスにつながる接点を見つけにくいことだ。そこで「イノベーションビレッジ」を用意した。これは昨年のSEMICON Japanで、アジア初の試みとして実施し、大好評を得た。今回は前回の倍増、30社以上の企業が参加する予定だ。参加企業はパネル展示で、東3ホールに集合する。そこにはステージも用意されており、パネル展示だけでなく、各社ごとにアイデアや技術、製品、サービスなどを5分で提案する。そしてビジネスとの出会いは、初日17時15分から開催される「SEMIプレジデントレセプション」を有効活用してもらいたい。

(聞き手・松下晋司記者)
(本紙2016年12月8日号15面 掲載)

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