商業施設新聞
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第62回

(株)メガスポーツ 常務取締役 営業・開発担当 阿部信行氏


17年2月期は40店超出店
コーナーズはグループ外立地にも
「コト」特化型の新業態開発

2017/1/24

(株)メガスポーツ 常務取締役 営業・開発担当 阿部信行氏
 スポーツ専門店「スポーツオーソリティ」やスニーカーを主軸としたスポーツブランドセレクトショップ「CORNERS(コーナーズ)」を国内で展開する(株)メガスポーツ(東京都中央区日本橋堀留町2-8-4、Tel.03-5644-3666)は、今期(2017年2月期)は40店以上を出店する計画だ。特に、13年に立ち上げた「コーナーズ」は急拡大しており、グループ外かつ都心の立地への出店も果たした。さらに12月9日には、空中ヨガスタジオの新業態も出店するなど、話題にこと欠かない。同社の今後の展望について、常務取締役 営業・開発担当の阿部信行氏にお話を伺った。

―― 沿革から。
 阿部 1995年に米国・スポーツオーソリティ社と当時のジャスコとの合弁で誕生、96年に1号店のワンダーシティ店を名古屋市に出店し、店舗網を広げてきた。16年8月、米国スポーツオーソリティ社(TSA社)の経営破綻に伴いイオンの100%子会社となった。

―― コーナーズについて。
CORNERS幕張新都心の外観
CORNERS幕張新都心の外観
 阿部 スポーツセレクト店として、スニーカーを起点とした「スポーツ×ファッション」のトータルコーディネートを提供している。標準面積は約40坪で、スニーカーをはじめとしたシューズ類7割、アパレルやアパレル雑貨類3割で構成。ファッション性や希少性の高い商品を取り揃え、スポーツオーソリティとは異なる客層の取り込みに成功した。客単価もオーソリティの2倍以上となる。大型区画のオーソリティと比較すると、都心立地や小区画でも展開できるため、機動力を生かして積極出店している。

―― ターゲットは。
 阿部 メーンは20~30代だが、40代以上の来店も多い。スニーカーブームの拡大やスポーツをライフスタイルとして楽しむ新しい提案ができる業態であることが支持され、認知度の高まりとともに客層を広げている。現状3対7で男性の来店が多く、今後は4割程度にまで女性の比率を上げることも課題だ。女性に訴求できる立地はもちろんだが、女性を取り込める品揃えとコンテンツを拡充する。

―― スポーツオーソリティについて。
 阿部 チームスポーツやアウトドアなど全方位型の品揃えで、800~1000坪の大型店が標準的だが、最近はランニングやヨガ、ボルダリングなどパーソナルスポーツに特化したコンセプト店やキャンプコーナー、トレッキングコーナーなどを導入したアウトドア特化型など、専門性を高めた400坪程度の中型店も展開を進めている。20年の東京五輪の追加種目に採用されたボルダリングを体験できるジムを導入するなど、体験型のコンテンツでも他社と差別化を図っている。

―― 出店状況を。
 阿部 当社全体で今期は40店以上を新規出店する。これまでは年間5~10店程度の出店だったが、今期と来期で出店攻勢をかける。出店数はピークとなるだろう。ただ、コーナーズはセレクトショップ業態であるため、増えすぎると価値が薄まってしまう。よって、この数年で地盤を固め、その後は内容の強化を図っていく。イオングループであるシナジーもあり、コーナーズ業態ではグループ外への出店も進んでいる。今後もグループ外へ積極的に展開していく。12月末時点で27店体制となる。

―― 強みは。
 阿部 他の大手スポーツ用品店が、スキーやゴルフといったギア偏重型、チームスポーツ中心の品揃えが多いのに対し、当社の武器は専門性を高めた店作りで、お客さまのニーズに即し、しなやかに動けている点だ。お客さまのニーズはウェルネスやパーソナルスポーツにシフトしているが、一歩先んじてその要素を導入しており、キャンプ用品やランニング用品が売り上げを牽引している。上期の売上高は既存店も含め右肩上がりに推移し、数字にも表れている。

―― 新業態について。
 阿部 直近では12月9日に、空中ヨガ&フィットネススタジオに最新のグッズやウェアを組み合わせた「avitystyle(アヴィティスタイル)」が東京・麻布十番に開店した。今後、同様にサービスや体験といった「コト」を強化し、「コト」×「物販」の要素と結びつけた新しい業態を開発する。「コト」のバリエーションは既存の空中ヨガやボルダリングに限らず、多種多様なコンテンツにチャレンジしていきたい。「コト」によって自ずと売るモノは変わってくるが、コトとモノの組み合わせは必須だ。市場環境の変化は目まぐるしく、常に新業態の構想はある。

―― 抱負を。
 阿部 長期的な展望としては、当然、上場は目指す。いずれはスポーツ専門店でトップを取りたい。現在の店舗数の倍以上の出店をする必要があり、道のりは簡単ではない。しかし、日本最大のSCを持つイオングループの強み、そして新しいことに果敢にチャレンジし取り込んでいく当社の能力を融合させれば、必ず達成できるだろう。

(聞き手・大塚麻衣子記者)
※商業施設新聞2173号(2016年12月20日)(5面)
 商業施設の元気テナント No.208

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