電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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KOA


基板放熱型熱設計 簡便な解析法提案

2017/5/19

:温度シミュレーション画面 
温度シミュレーション画面 
 KOA(株)(長野県上伊那郡箕輪町大字中箕輪14016、Tel.0265-70-7171)は、車載用途など高温環境下で使用する表面実装型の固定抵抗器を対象に、簡便に放熱設計を可能とする簡易温度シミュレーターを(株)サーマルデザインラボと共同開発。プリント回路板の回路設計者に対し、チップ抵抗器発煙の警鐘を鳴らすとともに、同シミュレーターの有効利用促進に向けて動き出した。

 プリント配線板に実装する電子デバイスは、放熱の視点から、大きく3種類に分けることができる。1つはMPUやパワーデバイスのように、自らの高発熱が想定できるデバイス。これらはヒートシンクなど専用冷却器具で対処する。もう1つはコイルやトランスなどで、自己放熱が可能なデバイス。これは放熱施策が不要である。

 問題は3つ目のタイプで、チップ抵抗器に代表される発熱の小さな小型部品だ。ここにKOAは警鐘を鳴らす。回路設計者は発熱が小さいことを前提に設計を行うため、放熱施策を軽視しがちだ。その結果、放熱パッドの設計が不十分な場合、極端な温度上昇を誘発し、発煙を引き起こす。当然、設計の見直しを余儀なくされ、大幅な開発ロスを生じることになる。

 また、KOAは放熱温度測定規格についても警鐘を鳴らす。従来は搭載チップ部品の周辺(空気)温度が測定対象。しかし、チップ部品の温度は基板温度に依存するため、部品端子部と基板接続部(配線パターン部)の温度測定が、放熱設計のためには不可欠となる。

 これを簡便にシミュレーションできるのが、今回開発のシミュレーターである。同シミュレーターは筐体内に設置した基板の注目部分のみ、配線パターン形状を指定して解析を行うことができる。もちろん、設計担当者は伝熱工学をはじめとする難解な専門知識を習得していなくても、簡便に熱設計を実行することができる。
 
(本紙2017年5月18日号5面 掲載)

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