商業施設新聞
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No.614

間近に迫る自動運転


永松 茂和

2017/7/11

自動運転技術が搭載される日も近い
自動運転技術が搭載される日も近い
 自動運転技術に国内外の自動車メーカー各社が全力を挙げて取り組んでいる。自動運転も様々な定義があるらしく、加速、操舵、ブレーキなどのいずれかをシステムが行うものから、加速からブレーキのすべての領域をシステムが行う完全自動運転まで、いくつもの段階に分かれている。完全自動運転などは夢のような技術であるが、日本政府は2020年までに一部実用化を目指しているというから楽しみである。そして、最近分かったのだが、自分もかつて自動運転技術を経験したことがある。

 それは、30年以上前に乗っていたホンダのプレリュードという車に搭載されていた技術である。ワイドアンドローの安定感ある車体に、ヘッドライトが格納できるリトラクタブルヘッドライトで、サンルーフ付きのモダンな車であったと記憶している。その車に装備されていたのがクルーズコントロールという自動定速走行装置だ。それまでは、高級車だけの装備と考えられていたもので、クルマが希望の速度(45km/h~100km/h)に達した段階でセットスイッチを押せば、あとはアクセルペダルから足を離したままの自動定速走行が楽しめるというもの。確か購入当初は、ゲームを行うように興味本位でいじくりまわしていたことを記憶している。ただ、渋滞が多い市街地では頻繁に止まったりすることが多いため使いものにならず、使用するのはもっぱら首都高速以外の空いている高速道路に限定される。

 実際、速度を設定して自動運転にすると快適であり、上り坂などで速度を上げたい場合などはハンドルで操作ができるため、アクセル操作では味わえないゲーム感覚の面白さがあった。しかし、前の車に追いついてしまい、解除せざるを得ない状況が多くなったり、ハンドル操作だけでよいため何度も眠気に襲われるなどして、知らぬ間に使わなくなってしまった。それ以来、数台の車を乗り継いでいるが、先端のシステムなど何も装備されていない、至ってシンプルな車である。30年前から比べれば様々な部分において進歩しているのであろうが、実用化という意味では不安な要素が多いのも事実だ。

 最近では、高速道路の逆走による正面衝突、アクセルとブレーキの踏み間違えによる暴走事故や立体駐車場からの落車、認知症患者など高齢者を中心とした自動車事故が急増している。65歳以上の高齢者人口は13年後の2030年までは増え続ける見通しであるため、同様の事故は増える可能性があり、まずはこの対策を最優先にするべきである。自動運転技術は夢のある技術であることは間違いないが、それをコントロールするのは人間であることを忘れてはいけない。

 国ではできるだけ早期の実用化を目指しているが、例えば突然の障害物を回避するなど最も重要であるブレーキ制御技術を優先し、段階的に行うことが必要ではないだろうか。
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