商業施設新聞
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No.617

京田辺市、お茶の街から物流拠点へ


今村 香里

2017/8/1

 京田辺市は、京都府南部にあり、大阪府、奈良県が接する三角地帯に位置する。大阪、京都、奈良の3府県の京阪奈丘陵に設けられた関西学術研究都市の開発地区に位置づけられており、3府県のベッドタウンとして発展が著しい。市内には同志社大学および同志社女子大学の京田辺キャンパスがあるため、大学生や20代の若者の姿が多く見られる。特産品は、京都府南部で生産が盛んな宇治茶。その中でも最高級品とされる玉露が有名だ。飯岡地区では覆下茶園と集落の景観が「京都府景観資産」に登録されている。

 そんな京田辺市のイメージが、新名神高速道路の開通で変わろうとしている。中でも同市北部に位置するJR松井山手駅周辺は、近年、商業集積地となり、加えて住宅の開発も活発だ。徒歩10~15分圏内には第二京阪道路・京田辺松井ICがあり、週末は車で家族と大阪方面などへ出かけるのに便利である。この京田辺松井ICに接道し、新たに新名神高速道路が開通する。

プロロジス京田辺の起工式では京田辺産玉露の呈茶が行われた
プロロジス京田辺の起工式では
京田辺産玉露の呈茶が行われた
 そこで注目される新たなマーケットは物流だ。5月には「プロロジスパーク京田辺」(京田辺市松井宮田)の起工式が執り行われた。第二京阪道路・京田辺松井ICと、新名神高速道路の八幡京田辺JCT・ICから約300mの至近にマルチテナント型物流施設を開発する。

 関西の主要消費地のみならず、新名神高速道路の城陽JCT・ICから八幡京田辺JCT・IC間の先行開通(4月30日)で、京奈和自動車道を通じて奈良方面もカバーできる。京都縦貫自動車道を通じて京都府北部や北陸方面へのアクセスも容易。新名神高速道路が全面開通する将来は、中部や中国方面の東西の広域もカバーできることから、物流拠点として注目されている。なにより、駅から近く、周辺には住宅が広がるベッドタウンであるため、人材の確保も有利で物流拠点として魅力的だ。

 「プロロジスパーク京田辺」の起工式当日は、京田辺市の意気込みが伝わる一風変わった演出が行われた。(財)方円流の先生を迎えて玉露のお手前を参加者に披露し、直会前の会場に温かい空気が流れた。プロロジスの山田御酒社長は玉露を味わい「一口目が甘い」と絶賛していたのが印象的だった。その後、私達取材陣にも提供してくれたが、今まで味わったことのない玉露の味だった。

 プロロジスパーク京田辺は、京都府知事からもバックアップされており、今後京都府では観光にも物流にも力を入れていくという。周辺には現在竹林の未利用地があり、今後も開発の余地が見込める。
 山田御酒社長は、京田辺市を含む京都府の南部について「5~10年後には物流のメッカになるだろう」と素晴らしい立地を称賛した。お茶の街から物流の街へ、そのイメージは変わろうとしている。
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