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第99回

(株)第一ビルサービス 代表取締役 杉川聡氏


広島の企業としてSC再生に尽力
水族館導入で集客増へ

2017/10/10

(株)第一ビルサービス 代表取締役 杉川聡氏
 広島を中心にオフィスビルメンテナンス事業を行っている(株)第一ビルサービス(広島市中区大手町5-3-12)は、2005年に開業したアウトレットモール「広島マリーナホップ」(広島市西区)の再生に取り組んでいる。12年から同施設の運営に携わり、信託スキームにより建物の所有権を取得した後、商業施設のデベロッパー事業に本格参入した。直近では再生事業の起爆剤となる「マリホ水族館」を17年6月24日にオープンするなど、その手腕に注目が高まっている。第一ビルサービス 代表取締役の杉川聡氏に話を伺った。

―― 「広島マリーナホップ」の概要から。
広島マリーナホップのゲートは壁面緑化を施しリニューアルした
広島マリーナホップのゲートは
壁面緑化を施しリニューアルした
 杉川 “緑そよぐ大人の海マチ ここだけモール”を新たなキャッチフレーズとし、海を身近に感じるショッピングモールを展開している。規模は、敷地面積11万2509m²、延べ2万3497m²。賃貸面積は3万5302m²(うち転借1万3652m²)で、物販、アミューズ、飲食など約180店で構成している。広島市中心部から車で約20分の距離で、1500台の無料駐車場も完備しているため、地元の人を中心に車で来場される方が多い。

―― 貴社が取得した経緯は。
 杉川 当施設はリーマンショックの影響を受け、08年に開発者の(株)ミキシングが破綻し、その後の大手企業も手に余る状態で、当社に話が持ち上がった当時は危機的な状況であった。このまま経営が軌道に乗らなければ広島県に返還することになり、更地となって広島県の未利用地が増えてしまうという地元企業としての危機感があった。当社としては初めての商業施設の運営であるが、地元企業として「なんとかしたい」という気持ちで、グループ会社の(株)マリーナホッププロパティと共に施設再生に取り組んでいる。

―― 再生事業の内容とは。
 杉川 地元企業であることを強みに広島県に働きかけ、まず県が管理する隣接地のヨットハーバー「広島観音マリーナ」との境界線を仕切るフェンスを撤去した。マリーナという施設名を名乗りながらも、当初はこのフェンスのせいで施設から海を感じることができなかったが、撤去後は水際まで自由に行き来できるようになった。プロムナードの整備やライトアップも開始し、海に隣接した広島唯一の大型ショッピングモールとして、非日常的な空間を演出できている。
 ほかにも、海側のレストランゾーンの充実、展望台やペット関連施設の設置などを行い、デートや散歩などを楽しめるようになった。

―― 業績は。
 杉川 売上高は10年の30億円から16年に74億円へとV字回復し、来場者数も16年に250万人に増えた。テナントの入居率も取得時は70%だったが、現在は95%まで回復している。
 また、定期的に行っているアンケート調査でも「良くなった」というお客様からの声をいただいている。
 しかし、施設の変化が分かるリピーターの方は一定数訪れる一方で、新しいお客様を呼び込むには“潰れたアウトレットモール”というイメージを大胆に払拭する必要がある。そこで海との親和性のある水族館を施設再生の起爆剤として導入し、施設のコンセプトを強化した。

―― 水族館の特徴は。
 杉川 延べ610m²の小型水族館だ。事業費は8億円で、水族館プロデュースに定評のある中村元氏が監修し、「水塊」をテーマに小型ながら何度も周遊できる展示と導線に配慮している。
 特に、当施設で弱かった平日のヤング層やミドル層の集客をカバーするため、夜の運営に注力しており、館内でアルコールの提供やパーティー利用も見込んでいる。広島市には大人が利用する娯楽施設が少なく、水族館なら海沿いのプロムナードと併せて仕事帰りのデート利用が見込める。また、土日は当施設の遊園地に来るファミリー層ともマッチし、水族館の導入で、35万人増の来場を目指している。

―― テナントゾーンは。
 杉川 趣味、観光・アミューズ、物販、飲食のゾーンを展開している。物販ではアウトレット業態から順次他業態への転換を目指している。また、住宅展示場と回遊できるライフスタイル業態の導入も検討中だ。増築は難しいが、建物容積は残っているので定期借地契約が伸びれば改築も考えられる。施設全体の売上高は100億円を目指している。

―― 将来に向けて。
 杉川 観光が盛んな広島だが、食事や買い物をする観光向け施設が少ないと感じているので、当施設で観光機能を充実させたい。例えば市内を観光してバスで当施設に来て食事や買い物をし、船で宮島へ向かうコースも考えられる。このほか、隣接する西飛行場跡地プロジェクトにも参画しており、連携を図っていく。
 さらに広島は当社の営業エリアの中四国で一番大きい都市であるため、広島での経験を活かし、地方の苦戦している商業施設にも影響を与えたい。

(聞き手・今村香里記者)
※商業施設新聞2210号(2017年9月12日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.238

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