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第115回

イオンモール(株) 代表取締役社長 吉田昭夫氏


海外事業 黒字化へ
国内は“五感で感じるモール”推進
広域商圏にジ・アウトレット投入

2018/2/6

イオンモール(株) 代表取締役社長 吉田昭夫氏
 イオンモール(株)は中期経営計画で2019年度までに営業収益3400億円を掲げ、新規31施設の開業を計画する。海外事業の黒字化、国内の少子高齢化といった課題にどう対峙するか。今後の戦略を吉田社長に聞いた。

―― 17年を振り返って。
 吉田 「中国・ASEANシフト」の第2ステージの位置づけで、今まで開発やリーシングにウエイトを置いていた業務内容から営業強化にシフトし、海外におけるイオンモールのブランディングの年とした。その結果、リーシングの際、入店希望の専門店が非常に増えている。
 お客様に対しては独身の日やバレンタインデイ、クリスマスなど社会行事は“イオンモールで”との認識が強くなったと実感する。独身の日の売り上げは前年比170%となり、リアルでも十分に集客できているなど、海外事業が軌道に乗ってきた。

―― 収益面は。
 吉田 ASEANで7モール、中国で17モールを開業し初期投資は重いが、38億円の利益改善を単年で行う目標を立て、上期で16億円改善できた。ハードルは高いが、早期に海外全体の黒字化を目指していきたい。

―― 中国はECが強いといわれていますが。
 吉田 リアルの中にECをつくるイメージ。スマホ決済が一般的になった中国のモールでは、すべてこれに対応するなど、常にニーズを捉えており、2桁成長は一度も崩れていない。当社の強みはオペレーションのクオリティ、安全安心と清潔、エンタメ性。これらを高いレベルで維持していることが支持を得ている。
 一方で、車社会は内陸部や地方都市においても急速に進んでおり、イオンモール武漢経開は4500台収容の駐車場があることが差別化になっている。さらにはEV化が加速しており、新規モールでは1モールでEV充電器を100台以上設置している。時代の変化への素早い対応は利便性の高いモールのイメージにつながり、後追いでは認知されない。

―― 国内は。
 吉田 ECの影響があるとの指摘を受けるが、来店客数、売り上げともに昨年より伸ばしている。
 国内では増床・活性化にウエイトを置く。イオンモール常滑ではシネマ棟を増床したほか、17年11月に「昭和甲府」を増床した。今年は「宮崎」で計画しており、毎年2モールの増床を継続する。増床棟だけ新しくするのではなく、既存棟の専門店も刷新することで、その効果が増大する。

―― ECの影響で、米国ではデッドモールが深刻です。
 吉田 ECとの競争で淘汰が起きた時、残ったモールにニーズが集中すると想定する。地域ナンバーワンモールにすることが不可欠だ。米国でもAグレードモールは残っている。日本でも百貨店、単独型GMSなど、大型商業施設の淘汰が始まっている。

―― 18年の取り組みは。
 吉田 五感で感じるモールをどうつくるか。それこそがリアルの強みであり楽しさ。飲食、サービス、エンターテインメントのみならず、「ヘルス&ウエルネス」としてヨガ教室やモールウォーキング、ヘルシー講座など、ココロと体を元気に楽しむイベントや、ミニオーケストラ、寄席、オペラといった上質なイベントを開催することで心を豊かにするなど、生活の拠点となるモール環境をつくっていくのが次のステップだ。接客技術の高い専門店、サービスの充実したモールの上にイベントなどの充実したソフトが組み合わさると、行きたくなる施設になる。
 加えてAIを埋め込んだインフォメーションボードの実験を「松本」で始めた。デジタライゼーションも強化し、お客様のストレスフリーを実現していく。

―― 3月、広島に「ジ・アウトレット」がオープンします。狙いは。
 吉田 「アウトレット」や、地域の食や物産をコンセプトにしたゾーン、シネマやスケートリンク、大型VR施設からなる「エンターテインメント」と、単独でも成立するものを3つ揃える。そのほかに飲食やプロパー販売もある。施設は一体だが明確なゾーン分けがされており、すべてが広域コンテンツで、通常のRSCよりもさらに広島以外の広域商圏を狙う。

―― 大手のアウトレットは増床している。
 吉田 アウトレットのノウハウをまだ積んでいない。従って、まずはきちっとしたトラックレコードを出しながら、次を検討していく。

―― 中期計画では新規モールは11ですが。
 吉田 11というと少なく感じるが、海外は15あり、計26モールとなる。商業環境によって投資バランスが変わった。
 また、増床は3カ年で8モールを計画する。リフレッシュなどの活性化は35モールを予定する。

―― 都市型商業ビルの(株)OPAは。
 吉田 導入期であり、利益面は我慢が必要だ。10月に開業した高崎オーパのように新店は年1店程度はあるが、「ビブレ」「フォーラス」「オーパ」の20程度ある既存施設を新店のように蘇らせる作業が必要で、これも18、19年のテーマだ。

―― 昨年は「水戸」「高崎」「秋田オーパ」を開業しました。
 吉田 新規開発となった高崎オーパは、市からのサポートも受け、高崎駅の集客装置として期待され、地方都市の駅前の活性化に貢献する事業モデルとなる。今春をめどにさらに磨きをかける。11月に開業した秋田オーパは、時間をかけて整備していく。秋田駅前は商業的に不振で初めはテナントが集まりにくかった。集客を見て出店希望が増えている。さらなるてこ入れで形にしたい。

(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2226号(2018年1月9日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.247

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