商業施設新聞
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第120回

三菱地所(株) 商業施設開発部専任部長 浜屋省吾氏


福岡、甲子園、丸の内で商業開発
都心複合、SC、アウトレット軸に

2018/3/13

三菱地所(株) 商業施設開発部専任部長 浜屋省吾氏
 三菱地所(株)では、生活産業不動産事業グループが、オフィス、住宅を除く商業、物流、ホテル開発を主に手がける。2018年は福岡、西宮・甲子園、そして丸の内の大型計画が控える。同事業部で商業施設開発を担当する、商業施設開発部専任部長の浜屋省吾氏に聞いた。

―― 商業施設開発での注力分野は。
 浜屋 大きく分けて3つ。1つが都心オフィスビルとの複合商業。「大丸有」と言われる大手町・丸の内・有楽町を中心としたオフィス低層部の商業施設の展開だ。
 2つ目が単独での商業施設で、「アクアシティ」「マークイズ」といった広域集客型と、「スナモ」「クルネ」などのNSCを展開している。さらに1棟、またはフロア貸し形態で小型の都心商業施設として、17年9月に「エムズクロス表参道」を開業した。開発が短期間でできることもあり、今後注力したい。そして3つ目が三菱地所・サイモンで展開するアウトレットだ。

―― 福岡に今秋オープン予定の「マークイズ 福岡ももち」の概要は。
 浜屋 商業面積約1万5000坪に150~200店となる。
 かつて同地にあった「ホークスタウンモール」は、MDがスポーツやエンタメに寄った広域型だった。今回は足元と広域の両方を狙っている。2km圏内約21万人の商圏を持ち、競合が少ない一方で、食品スーパー(SM)、ドラッグ、実用衣料など普段使いの商業施設もない。また高級住宅地ももち地区が隣接しており、後背地には28階建て・約600戸のタワーマンション2棟が19~20年度に竣工する。

―― 足元商圏が“厚い”ですね。
 浜屋 そのとおりで、SM、食物販、ドラッグでまずは足元デイリーをきちんと取り込む。SMも地元で品揃えの良い店舗が出店する。
 ファッションやインテリア・雑貨は、福岡の郊外型商業施設よりも高感度でライフスタイル提案ができるMDにする。フードコートも500~600席設け平日のママたちの“溜まり場”にしたい。
 このように足元を固めたうえで、元々入っていたシネコンやライブハウスなどの広域から集客できる機能を盛り込み足元と広域の二毛作を狙う。

―― 具体的には。
 浜屋 施設中央部に吹き抜けを設けて、イベントに活用するほか、ヤフオクドームに続く2階のデッキでもイベントを開催できるようにする。
 また、年間390万人におよぶドーム来場者の取り込みも狙う。プロ野球観戦に加え、ドームコンサートもある。ドームはビッグアーティストが多く、Zepp Fukuokaも併設されるため、ドームとZeppで来客が見込める。
 シネコンは、天神から西側は空白地帯であり、ユナイテッド・シネマが再出店する。

―― そのほかの商業開発は。
 浜屋 旧イオン甲子園店を新たなNSC「Corowa甲子園」として開発し、今年のゴールデンウィークの開業を予定している。店舗面積約3万m²に再出店するイオンのSMなど、約60店を集める予定だ。

―― 今後の方向性は。
 浜屋 今後もマーケットのある場所で開発していく。しかし工事費が高止まりしているため、賃料の上限がある郊外の開発は採算性が厳しくなっている。従って、GMSや百貨店跡のリニューアルや駅前再開発も注視している。東京23区内でも検討案件はある。

―― その都内は。
 浜屋 ひとつが単体のホテル開発。三菱地所グループの「ロイヤルパークホテル」や他社の宿泊特化型の案件を主に手がける。ホテル不足の中、ホテルオペレーターの出店意欲は旺盛だ。現在、都内および関西で複数の計画がある。
 そして、東京商工会議所と東京會舘を建て替える「丸の内二重橋ビルディング」が10月の竣工を予定している。ここの商業施設のリーシングは商業施設営業部が担当する。丸の内仲通りに久々に路面店ができるので、満を持して取り組んでいる。初出店なども多く、約25店となる予定だ。

―― 既存施設の開発は。
 浜屋 「マークイズみなとみらい」「同静岡」が今年開業5年を迎え定期借家契約満了となるので、リニューアルを予定している。「静岡」は一時業績を落としたが、アパレル比率が高かったのを、ファミリー向けのテナントに変えたことで、徐々に売り上げを伸ばしている。「みなとみらい」も好調なファッションを強化する。

―― 今後の抱負を。
 浜屋 RSCはなかなか物件がないため、3年に1物件のペースとなりそうだ。従ってNSCや都心型商業施設開発を毎年手がけたい。ただ、先ほど申し上げたように環境は厳しいが、それに負けないように施設ごとのポジションを強めていき、地元やマーケットに支持される施設にしていきたい。

(聞き手・編集長 松本顕介)
※商業施設新聞2231号(2018年2月13日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.252

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