商業施設新聞
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No.647

五輪への熱量


松本 顕介

2018/3/13

次の世代を担う若いアスリートの熱気であふれていた
次の世代を担う若いアスリートの
熱気であふれていた
 先日の東京マラソンは、例年になく盛り上がったのではないか。今大会は、東京2020オリンピック日本代表選手選考競技会「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC)を兼ねて行われていたから、「MGCに出場して好結果を出し、マラソン代表に選ばれるぞ」という、東京五輪にかける思いが中継画面からも伝わった。それに加えて、16年ぶりに日本記録が更新されたことも、話題作りに花を添えた。こういうエポックメイキングな大会に参加していた一般ランナーは、同じ時間、同じ場所、同じく空間を共有し、なかなか思い出深い大会になったに違いない。筆者は今回も東京マラソンへの参加がかなわなかったが、日本記録更新という、歴史的快挙の空気のなかに身を置き、歴史の証人の一人になりたかった。

 東京マラソンは走らなかったが、「横浜銀行アイスアリーナ」に行ってみた。JR東神奈川駅から数分の場所にあり、JR線からも目にとまる。2年ほど前に建て替えられ、横浜銀行が命名権を取得した。本紙の地域開発フラッシュというコーナーで改築の記事を取り上げたこともある。ちなみに、東日本大震災が起きた際、仙台で被災したフィギュアスケートの羽生結弦選手が一時、ここを練習拠点にしていたことでも知られ、館内には羽生選手の写真も飾ってあった。足を踏み入れると、何だか熱量を感じる。スケートリンクなのに。そりゃそうだ。1週間前に羽生選手が2大会連続の金メダルを取っただけでなく、宇野昌磨選手の銀メダルと合わせて“日本人ワンツー”だし、前日はスケートの新種目マススタートで高木菜那選手が金メダル、女子カーリングが銅メダルを取ったのだ。予想どおりオーバルコースのリンクはごった返していたが、その間をジュニア世代と思われる女子、男子が縫うように滑り、そこで十分に加速してリンク中央に設けられた選手用のスペースで華麗なジャンプを繰り出す。なかには2回転を決める選手もいた。「ジャッ!」。きれいに着氷が決まる際は、氷を削る音もいい。1回転でもすごい迫力なのに、羽生選手らが決める4回転は異次元のものなのだろうなと感心してしまう。

 平昌五輪が閉幕し、次はいよいよ東京五輪だ。日ごろは仕事柄、都内で進行する大型再開発事業の進捗で“五輪近し”を測ってしまうが、この日はそんなソフトパワーの高まる熱量で、五輪開幕が近いことを測り知るのだった。
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