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第272回

サンケン電気(株) デバイス事業本部長 星野雅夫氏


新中計で白物家電向け拡大
新設計手法で効率化狙う

2018/5/11

サンケン電気(株) デバイス事業本部長 星野雅夫氏
 サンケン電気(株)(埼玉県新座市北野3-6-3、Tel.048-472-1111)は、車載と白物家電向けを成長ドライバーと位置づけ、パワー半導体事業を展開している。新中期経営計画がスタートした2018年度も、両分野の事業拡大を通じて目標達成を図る。デバイス事業本部長の星野雅夫取締役専務執行役員に現況と今後の取り組みを伺った。

―― 足元の需要動向から教えて下さい。
 星野 17年に続いて18年も衰えることなく、需要は旺盛だ。自動車は多少一服感が出ているが、海外子会社のアレグロマイクロシステムズの受注傾向を見ても堅調だ。アレグロの場合は主力製品が磁気センサーのため、クルマ1台あたりの搭載員数アップという効果も働いている。
 白物向けも落ちていない。過去に厳しい在庫調整を経験しており、足元の在庫水準を注意深く見守っているが、夏場のエアコン商戦に向けて需要は強い。もっとも、一番成長に寄与しているのは、中国向けエアコンのインバーター搭載率の向上だ。これがパワー半導体の需要を大きく押し上げている。

―― 17年度を振り返って自己採点をするならば何点ですか。
 星野 65点ぐらいではないか。売上高や営業利益などの業績面を見れば、期初予想を上回り及第点を取ることができたが、ウエハー調達難での納期遅れの増加やキャッシュフローの改善など財務体質の改善などはまだまだ道半ばというところだ。そうした意味では、17年度までにまずは構造改革を仕上げることができたと思っており、これからの新中計に向けた体制づくりは進んだと見ている。

―― 新中計の概要について。
 星野 引き続き車載、白物を重点市場と位置づけるほか、産業機器向けにも注力していく。白物家電向けは最終年度の20年度に17年度比80億円増に拡大させるつもりだ。白物向けは従来、室内機・室外機のファンモーター用IPMが主力だったが、近年は中国・韓国顧客向けでの採用を契機に、より容量の大きなコンプレッサー用IPMの売り上げが伸びている。

―― 車載向けは。
 星野 20年度に17年度比40億円増を計画している。現在、自動車市場はEV化よりも、ADAS(先進運転支援システム)などの安全走行の分野が優先されており、我々のパワー半導体の需要が大きく増えてくるのはもう少し先になる。具体的には、20年ごろから新設計の駆動モーター向けのモジュール製品などが本格的に立ち上がってくる見通しだ。産業機器向けは、マイコンとパワー半導体を組み合わせたデジタル電源制御IC製品などをIoT市場向けに拡販していく。

―― 構造改革については。
 星野 現在、力を入れているのが開発体制の刷新だ。「SPP(サンケンパワーエレクトロニクスプラットフォーム)」と呼んでおり、チップ製造プロセスなどの標準化を通じて、設計の効率化を図ろうとしている。すでに社内でこのSPPを適用したモデルケースを立ち上げており、今後全社的な取り組みに発展させていきたい。当社は従来から部分最適の考え方が浸透していたが、今後のパワー半導体市場の競争環境を考えれば全体最適のコンセプトは不可欠だ。

―― 生産拠点の能力増強については。
 星野 17年度は白物家電用IPMの増産を中心に設備投資を行った。国内の石川サンケンでも投資を行ったが、想定を上回る需要増に対応するにはもはや国内拠点だけでは厳しく、中国・大連工場にもIPMラインを設置した。加えて、新たに韓国のOSAT企業を活用して、外部への委託生産もスタートさせた。

―― 前工程の増強は。
 星野 山形サンケンで8インチの投資を行った。IGBT特有の裏面加工工程を中心に行ったほか、米ポーラーセミコンダクターでも8インチの拡張を順次進めている。ただ。すべて自社拠点で増やすというより、外部リソースもうまく活用しながら、供給体制を強化していきたい。

―― 目安はありますか。
 星野 前工程について現状6~7割を自社拠点で生産しているが、段階的に落としたいと考えている。後工程の外注比率はアレグロが2~3割、サンケンが1割程度となっているが、これも段階的に引き上げていきたい。

(聞き手・副編集長 稲葉雅巳)
(本紙2018年5月10日号3面 掲載)

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