商業施設新聞
新聞・情報紙誌のご案内出版物のご案内広告掲載のご案内セミナー/イベントのご案内
シェア
Clip to Evernote
このエントリーをはてなブックマークに追加
第405回

イオン東北 代表 村上教行氏


東北復興は皆を元気にすること
雇用の創出と地域産品の拡販が重要

2013/10/29

イオン東北 代表 村上教行氏
 イオン(株)専務執行役でイオン東北代表の村上教行氏(=写真)はイオンモールの会長職も兼務し、これまでショッピングモールの業態確立や中国進出の基盤を築いてきた。現在は日本ショッピングセンター協会の副会長を務めるとともに、イオングループにおける取引企業や行政との渉外を担当しており、釜石や気仙沼、いわき市などにおける復興街づくりで、地域の将来を見据えた街の再生プランを提案している。気仙沼市で生まれ育ち、今回の東日本震災では母親を一時避難で千葉の自宅へ迎えた経験を持つ同氏に、東北復興への想いを聞いた。

―― イオン東北の代表となりました。

村上 イオン東北(イオンリテール、イオンスーパーセンター(SuC)、マックスバリュ(MV)東北、MV北東北、MV南東北、サンデーなどで構成)は会社・企業体ではなく、長期的な視野に立って生産地としての東北地域と仕入や物流、販売などの連携を強化することと、東北復興を側面からサポートするための組織に位置づけられます。代表就任は、私自身も宮城県気仙沼市出身で実家と兄の燃料店が津波被害で流された震災被害者であることから、経営者として冷静な判断が下せるかという迷いもありましたが、生まれ育った故郷のために、自分を育ててくれたイオンのために引き受けました。

―― 震災時の対応で店舗を避難場所に提供した。

気仙沼市街に流された第18共徳丸は13年秋に解体撤去された
気仙沼市街に流された第18共徳丸は
13年秋に解体撤去された
村上 東日本大震災では気仙沼店や多賀城店、石巻SC、名取SCなど立地条件によって被害の度合いや被災者への対応は異なりました。イオンはこれまでに阪神淡路大震災や新潟中越地震を経験し、顧客の避難誘導や店舗の再開に向けた応援隊の派遣などで災害対応のノウハウを積み上げてきました。“有事の時こそ顧客対策として店を開けること”を実践するため、一般には見えない部分で様々な対応を行っています。
 今回の震災では気仙沼店で、以前の台風による浸水被害の経験を踏まえ、店舗屋上より高い位置にある国道45号線へ客を誘導し、1人の死者も出しませんでした。また、多賀城店は、来店客を店外へ誘導した後に駐車場のスロープを使って屋上へ避難させました。さらに石巻SCは滞在できるスペースがあったことから避難者を受け入れて寒さから守ることができました。

―― 現在、力を入れていることは街づくりの提案。

村上 最も力を入れていることに街づくりが挙げられます。大きな商業施設を創って、街をつくる。小さな商業施設でも可能です。これまで、新たな街づくりの提案として、釜石市や気仙沼市、いわき市へ直接伺って、街の特徴を活かしたプランを提案し、採用されました。釜石市では、市復興計画の主要施策で「商業と交流空間の機能展開」への取り組みと、イオングループの一日も早い復興、被災に強い街づくりの目的が一致したことで立地協定へつながりました。これにより新日鐵釜石製鐵所の中番庫跡地に14年春「(仮称)イオンタウン釜石」(店舗1万7394m²)を開設して約60店が出店します。さらに東北に本社を置くイオンSuCが出店することで多くの雇用も生まれます。
 いわき市では、小名浜港後背地の都市センターゾーン開発計画で、事業協力者にイオンモールの提案が選ばれました。13年度に事業計画を策定して14年度以降の着工を予定しています。
 さらに気仙沼市では、12年2月に実施された街の中心部の「魚町・南町内湾地区復興まちづくりコンペ」に応募し、102プランの中から優秀賞に選定されました。これらのプランはこれからの街づくりに反映されるものです。

―― 雇用の創出で、支援から自活に変わること。

村上 震災復興では雇用が最も重要な課題となります。大きな被害を受けた気仙沼店は、閉店か営業継続かを迷いましたが、市長から店の明かりを点けてほしい、雇用を守ってほしいとの要望があり、営業継続を決断しました。
 復興がなされた後に、街から人がいなくなっては困ります。雇用を創出できるような商業施設の集積を地元と協議して積極的に行いたい。また、被災地を産地に変える取り組みも必要です。東北地区の商品をグループ企業に紹介し、全国各地で販売します。生産者から加工業者、流通、販売までつなげることで経済効果が期待できます。これらの施策を継続することが重要です。

―― 最後に東北への想いは。

村上 私は気仙沼市の離島で生まれ育ち、中学・高校時代は家業の手伝いが日課でした。真冬の海も凍る時期でも原付バイクで配達を行い、定期船で高校へ通いました。その後、東北学院大学の経済学部に進学して下宿生活を経験しました。その頃に落語研究会に所属しましたが、今は川柳が楽しみです。これまでに東北の地方紙に投稿し、29本が掲載されました。気仙沼から避難し10カ月間、生活を共にした母親への想いを「孝行の真似ごとと被災の親を呼び」や、今年生まれた孫へ「子は鎹(かすがい)孫は瞬間接着剤」など普段の生活を題材に川柳を詠んでいます。また、地元学校の同窓会も活発に行われています。自分の役割はお声掛けだと思い皆を誘っています。その時のお土産は「トップバリュ」の衣料品が一番人気。仕事やプライベートでも皆を元気にしたいです。

(聞き手・登坂嘉和記者)



▼イオン(株)
〒261-8515 千葉市美浜区中瀬1-5-1、Tel.043-212-6000
村上 教行氏=イオン専務執行役兼イオン東北代表
サイト内キーワード検索