■発刊趣旨とご購入のご案内

2020年は、新型コロナウイルスによる自粛生活を世界中が強いられる中で新年度を迎えました。コロナ禍の影響は濃淡あったものの、IT関連は巣ごもり需要などでおおむね好調に推移し、テレビ市場も個人消費の増加に支えられてパネル価格が急上昇し、一部では縮小しつつあった液晶パネルの生産工場をそのまま維持しておかねばならず、皮肉にも怪我の功名とも言える良好な市況が生じています。市場調査会社からは、21、22年度のテレビパネルや関連部材が好調に推移する予測が発表されています。
　
有機ELは、中小型だけでなく大型パネルへの投資動向に注目です。これまで市場を牽引してきたLGディスプレーの、広州のテレビ用有機ELパネル新工場が20年夏に稼働開始しました。同工場と韓国の坡州工場で8.5G月間13万枚の生産能力を整備し、フル稼働すれば年間1000万台以上のテレビ用有機ELパネルの出荷ができることになります。サムスンディスプレーもQD-OLED（量子ドットを用いた有機EL）に注力シフトし、韓国2強の大型有機ELパネル戦略から目が離せません。
　
有機ELに続く次世代ディスプレー技術の開発も一層熱を帯びてきそうです。その最右翼と言われるのが、微小なLED素子を用いたマイクロLEDディスプレーです。ソニーが大型ビデオウォールとして先駆けて事業化し、サムスンも超大型マイクロLEDテレビの商用化に着手しています。台湾メーカーが特に開発を積極化しており、ディスプレーとしての商業化に先駆けて、まずはマイクロLEDバックライトとして実用化しようとする動きも出てきています。
　
本書は、FPD業界をマクロ的な視点から、またこれに参入している個別メーカーのミクロなデータを一冊にまとめ、毎年ご好評をいただいているロングセラーです。主要FPDの網羅と、パネル別・各社別に市場戦略や設備投資計画、研究開発の動向を最新の取材で解説しているほか、韓国・台湾・中国の最新事情も収録、世界のFPD産業を体系的にとらえた総合書に仕上げております。FPDメーカーおよび関連業界各社の取材・執筆・編集には、『電子デバイス産業新聞』編集部が当たりました。

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■内容構成