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第498回

平和不動産(株) 開発企画部長兼街づくり推進室長 高野明仁氏


金融の街に賑わいを
日本橋兜町を再開発

2015/10/20

平和不動産(株) 開発企画部長兼街づくり推進室長 高野明仁氏
 全国の証券取引所ビルを所有・管理し、証券取引所の大家と言われるのが平和不動産(株)。同社では10年をスパンとする中長期経営計画を策定しており、その目玉事業として、日本橋兜町再開発に着手する。今後の事業展開について開発企画部長兼街づくり推進室長である高野明仁氏(=写真)に伺った。

―― 貴社の沿革について。

高野 1947年に日本証券取引所が解散するにあたり、そのビルを賃貸・管理すべく設立しました。その後、吸収・合併があり、現在は東京、名古屋、大阪、福岡の証券取引所の管理を行っています。今ではビル賃貸事業のほか、住宅の分譲、賃貸など不動産開発全般を手がけています。

―― これまでのキャリアは。

高野 新卒で当社に入社し、不動産開発を中心に歩み、大阪証券取引所の建て替えにも携わりました。建築学科の出身であるため就職は不動産、建築系の企業を中心に絞り込みました。先輩が不動産会社に入社しており、なんとなく興味はありました。

―― 最近のビル開発について。

高野 3月に「大阪証券会館本館」跡地において建て替えを進めてきました「北浜一丁目平和ビル」が9階建て延べ約5500m²規模で竣工しました。大阪エリアで5番目の再開発プロジェクトで、16年3月期から収益に寄与する見通しです。
 また、4月には名古屋市中区栄において計画を進めてきた「丸善名古屋本店ビル」(旧(仮称)S3プロジェクト)が竣工しました。S・SRC造り地下1階地上7階建て延べ約4900m²の規模であり、全館ジュンク堂書店が入居しました。栄三丁目地区活性化のための開発事業の一環であり、「名古屋平和ビル」「名古屋証券取引所ビル」「セントライズ栄」に続く4棟目の開発プロジェクトとなります。約10年にわたる面開発により街並みは一新し、延べ床面積も1万1300m²から3万9700m²へと3倍に拡大しました。

―― 中長期経営計画が本格始動しました。

高野 当社では15年3月期から24年3月期までの10年間における中長期経営戦略(―平和不動産のこれからの10年―)を策定し、推進しています。この重点戦略が「日本橋兜町再活性化プロジェクト」、「ビル賃貸事業のブラッシュアップ」、「リートAM事業などフィードビジネスの拡大」の3点で、日本橋兜町再開発を軸に再開発プロジェクトの推進とビル賃貸事業など収益基盤の強化を図ります。日本橋兜町の再開発は、昭和のバブル期に証券会社から床が足りないとの声が強くなり、大規模開発を行う計画がありましたが、バブル崩壊により立ち消えになった経緯があります。ただ、リーマンショックを乗り越え、再び開発機運が高まってきており、兜町エリアが国家戦略特区に指定されたことが再開発計画を後押ししています。

―― 日本橋兜町再開発の街のイメージは。

高野 トヨタ自動車の奥田碩相談役を座長に投資と成長が生まれる街づくり協議会が発足しており、日本橋兜町の再活性化に向けた議論を活発に進めています。兜町は東京証券取引所がある関係上、証券会社が集中する歴史のある金融の街であるが、一般のテナントが入りにくいイメージがあるようで、まずはこれを変えていかなければいけません。このため、金融のイメージを残しながらも賑わいのある街づくりが必要となり、商業的な要素も必要です。今は飲食施設が少なく、人形町や日本橋室町に行くパターンが多いため、このニーズは強いですね。近隣の丸の内、八重洲、京橋などでは大型再開発ビルの建設が活発化しているが、日本橋兜町、茅場町地区はエリアが小さいため、差別化する必要があり、ミドルサイズのビル開発を連鎖的に行うことも重要です。

―― 具体的な展開は。

高野 日本橋兜町の東京証券取引所から茅場町1丁目の地下鉄茅場町駅にわたる約10万m²のエリアの駅寄りを自社所有の兜町第3、茅場町共同ビルを中心に第1プロジェクトとして兜町プロジェクト、茅場町プロジェクトに分け、19年竣工をめどに開発を進めます。その後も自社所有、ビル取得を行いながらエリアの再開発を行う方針です。必ずしもビルを建設するわけではなく、当社の本社ビルである「日証館」のように1928年の建設で歴史のある建物については取り壊すのではなく、建物を残し、リノベーションなどで対応していく考えです。

(聞き手・副編集長 永松茂和)



▼平和不動産(株)
〒103-8222 東京都中央区日本橋兜町1-10、Tel.03-3666-0181
http://www.heiwa-net.co.jp/
設立=1947年7月、資本金=214億9200万円、▽代表者=岩熊博之氏
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