■発刊趣旨とご購入のご案内

　世界の太陽光発電市場は、各国の導入施策に支えられ、大きな成長を遂げています。2009年に7GWだった年間導入量は、13年には5倍強の38GWまで増加しました。そして、14年には50GWの導入が見込まれており、18～19年には13年比で約2倍となる70GW前後の導入が期待されるなど、成長スピードはますます加速しています。
　欧州は長年、太陽光発電の市場を牽引してきましたが、近年、その役割はアジアに移りつつあります。現在、太陽光発電の導入トップは中国で、累積導入量でも日本を抜いて2位に躍り出ています。我が国も12年7月の固定価格買取制度（FIT）の施行以降、急速に導入量が増えており、米国も安定した成長を続けています。しばらくは、中国、日本、米国が中心となって世界の市場を牽引していくことになるでしょう。
　導入量の増加に伴い、市場規模も拡大しています。IEA（国際エネルギー機関）では、13年の市場規模は前年比15％増の860億ドルと見積もっており、JPEA（太陽光発電協会）でも、13年の国内市場規模（売上高）を2兆6000億円と算出しています。国内市場は直近の4年間で5倍に拡大したことになります。
　世界規模で成長が続く太陽光発電ですが、一方で課題も残っています。現在、太陽光発電の普及はFITに代表される補助金が前提となっています。そして、このインセンティブがなくなると、イコール市場の成長も鈍化するといったケースが後を絶ちません。補助金に頼らず、太陽光発電の自律成長を図るには、既存電力と十分に競争ができるだけのコスト低減が求められています。また、電力会社による接続保留といった懸念材料も表面化しています。太陽光発電システムのコスト低減に加えて、送電インフラの整備や蓄電技術の開発が喫緊の課題となっています。
　現在、太陽光発電の累積導入量は140GWに達していますが、世界の電力消費量に占める比率は依然として1％未満にとどまっています。そういう意味では、太陽光発電の取り組みはまだ緒についたばかりですが、将来の重要なエネルギーとして、さらなる普及・拡大が進むことを信じて疑いません。
　本書『太陽光発電産業総覧2015』では、世界の太陽光発電導入状況と今後の市場展望を考察するとともに、現在主流の結晶シリコン、さらには化合物、有機系など各種太陽電池の最新の技術開発動向をまとめています。また、日本、中国、台湾、韓国、欧米各国の主要太陽電池メーカーの最新動向のほか、ポリシリコン、封止材、バックシートなどの主要部材、ワイヤーソーやCVD装置、レーザーパターニング装置、ソーラーシミュレーターなどの製造装置や検査装置、パワーコンディショナー、さらにはシステムインテグレーターや発電事業者に至るまで、サプライチェーンに不可欠な有力企業の最新動向を取り上げています。ご多忙の中、取材に協力して頂いた関係者の方々には、改めてお礼を申し上げる次第です。

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■内容構成