商業施設新聞
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No.938

釜山を訪れたいと思わせる魅力


嚴在漢

2024/1/9

 韓国第2の都市である釜山市は、「2030国際博覧会」の誘致に国を挙げて取り組んだものの、競争したサウジアラビア・リヤドに敗れた。釜山は、2035年の国際博覧会の誘致に再挑戦するという。ファン・ヒョンギ釜山広域市2030国際博覧会推進本部交渉支援チーム長は「次期の博覧会誘致に向けてさらなる取り組みを進めていきたい」と話す。

国際博覧会の会場を予定していた釜山北港の予想図
国際博覧会の会場を予定していた
釜山北港の予想図
 釜山市は、2030博覧会の開催費用を総額44億1700万ドル(約6272億円)と見積もっており、全額を韓国政府と釜山市の予算でまかなう方針だった。運営費用は13億1000万ドルと予想されており、博覧会の運営収入をこれに充てる計画としていた。ちなみに次期博覧会(2035年)の開催費用はさらに30%強は膨らむ見通しだ。

 新型コロナ以降、釜山を訪れる日本人は増えているものの、最多の割合を占める外国人観光客は台湾人だ。そこで、さらなる日本人観光客を呼び込むため、釜山観光公社グローバルマーケティングチーム長の文栄培(ムン・ヨンベ)氏は「釜山の魅力を多くの日本人に一層広げるため、積極的な広報活動を企画している」と意気込んでいる。快晴の日には長崎県対馬がかすかに見える釜山海雲台の海辺は、韓国一の海水浴場として知られている。また、ランドマークである釜山エックスザスカイのエレベーターは三菱電機製で、100階まで到達するのに54秒しかかからない。近年の日韓関係は融和ムードが高まっており、釜山観光公社などの努力でさらに多くの日本人観光客が往来することが期待される。

 釜山は、1950年代の朝鮮戦争を機に北朝鮮やソウル、京畿道などからの避難民で溢れていた時代がある。当時、避難民が集まっていた場所(甘川文化村)は、いまは観光客で賑わっている。当時の住まいを再現した仮設住宅から、想像を絶する狭さと困窮が伝わる。しかし今は多くの人が訪れる街になっている。

 釜山には名物市場がある。「ザガルチシジャン」という新鮮な海産物や魚介類を大量に取り扱い、露店のような店が数百mも立ち並んでいる。以前のように客引きの声はあまり聞こえてこなくなったものの、依然としてディスカウントができるのが大きな魅力だ。釜山には昔の日本、昭和の時代を彷彿させるような人情と人々の営みがある。釜山の魅力はいくつかあるが、こうした人々の営みも釜山に行きたいと思わせる理由の一つかもしれない。
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