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(株)ユニマット リタイアメント・コミュニティ 代表取締役社長 平家伸吾氏


介護からビジネス領域拡大へ

2015/11/17

平家伸吾氏
平家伸吾氏
 公的介護事業を主力としてきた(株)ユニマットそよ風は、10月1日に(株)ユニマット リタイアメント・コミュニティ(東京都港区南青山2-12-14、Tel.03-5413-8338)へと社名を変更するとともに、公的介護事業から、より広いサービスの提供へ、顧客と事業領域の拡大に踏み出した。同社代表取締役社長の平家伸吾氏と常務取締役の中川清彦氏が事業説明を行った。

 新社名には、「いつまでも活き活きとした人生を送りたい」と願う人々のニーズに応える企業であるために、「元気なうちはもちろん、介護が必要になっても安心して豊かな生活を継続できるコミュニティを創造する」という決意を込めた。

 同社は、有料老人ホーム(介護付き/住宅型)、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、デイサービス、訪問介護、訪問看護、居宅介護支援(ケアプラン作成)、福祉用具レンタル・販売、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業を「そよ風」のブランドで展開し、2015年9月30日現在、全国で276拠点(全サービス計627事業所)をネットワークしている。ショートステイの床数は、14年に2980床(140拠点)となり、2位の963床を大きく引き離し、2位から7位の企業の合計床数を上回っている。

 介護事業を中心に展開してきた同社であるが、高齢者の要支援要介護率を見ると、65~69歳は2.9%、70~74歳6.2%、75~79歳14%、80~84歳でも29.7%、85~89歳でも50.9%となっており、つまり85~89歳の高齢者の半分は自立生活を送っていることになる。65歳以上の高齢者3300万人に対し、同社が事業の主なターゲットとする要介護者は392万人で12%に過ぎない。ちなみに認知症高齢者は、おおむね各年代の要支援要介護の高齢者数の約半分を占めるとしている。

 ビートたけし、高田純次、星野仙一、海外ではエルトン・ジョン、アーノルド・シュワルツェネッガーといった有名人が1947年生まれで、日本国内では団塊の世代にあたるが、あと2年で70歳を迎える。こうして、この世代の人々が社会の一線から退き始めているが、団塊の世代に代表される人口層は、従来の「シニア層」と同じ考えでは通用せず、同社では、これからの活動的な高齢者層を「アクティブシニア層」とし、この層に向けて、第2の人生における暮らし方の提供・生き方の選択を商品化し、新しいサービスの提供を開始することにした。

 現在のところ、(1)特化型デイサービスの提供、(2)自立型高齢者向けシェアハウスの提供(介護保険外事業)、(3)付加価値の高い有料老人ホームの提供、(4)リタイアメント・コミュニティ事業の提供の4つの新規事業を計画している。

 上記計画を提供する前段として、今年度から宮古島(沖縄県)での投資型不動産の販売を開始し、また、5月には「親の介護」をキーワードにつながるすべての人のためのプラットホーム「親孝行倶楽部」を設立。さらに、試験的な取り組みとして、特化型デイサービスとなるクッキングデイサービス「なないろクッキングスタジオ」および個室デイサービス「梅郷ケアセンターそよ風」を、それぞれ7月1日、10月1日に開設している。

 親孝行倶楽部は、「親の介護」をキーワードに繋がる、全ての人々のためのプラットフォームサービスで、会報誌『親孝行倶楽部』、専門家による連載コラム、電子Bookの3つのメディアを通じて介護や健康(予防)に関する有益な情報を提供している。

 新規事業の事業拠点は、リソース(既存施設)の有効活用を図ることで、投資効率とスピードが大幅に高まると見ており、既存施設は先のショートステイ拠点のほか、複合施設(通い、泊まり、有料老人ホーム)を100カ所以上(ショートステイとの複合も含む)全国展開するなど、その全国の拠点数と運営ノウハウにより、他社ではできない新規サービスの展開が可能と考えている。

 (1)の特化型デイサービスは、ショートステイの個室を丸ごとデイサービスのための「特化型個室」に変える。主なものは、麻雀ルーム、シアタールーム、パターゴルフルーム、フィットネスルーム、足湯ルーム、手芸ルーム、カラオケルームなど多彩な特化型ルームを用意する。

 (2)自立型シェアハウスは、ショートステイの設備を活用し、元気な高齢者に、ワープステイや近居をコンセプトとした「暮らし方」を提案する。ワープステイは、各地の住みたい場所に「お試し移住」して全国をめぐったり、住みたい場所探しを支援するサービス。このサービスは、今までどの企業も手がけていないという。近居は、大変なこともある2世帯、3世帯の同居と異なり、子や孫の家族と比較的近い場所に居住すること。同社では、これもショートステイの設備を活用して提供する。また、同社が介護事業を手がけているため将来の健康上の不安に対する安全安心も提供でき、さらには既存介護施設の利用や有料老人ホームへの居住も可能であるとしている。

 (3)の付加価値の高い有料老人ホームは、新たな暮らし方を提供できる、付加価値を備えた新しいブランドの有料老人ホームとして、第1号施設の準備を進めている。

 (4)のリタイアメント・コミュニティ事業は、千葉県八街市小谷流で、ユニマットグループが都市近郊型リゾート開発を進めており、(株)ユニマット リタイアメント・コミュニティは、CCRC(Continuing Care Retirement Community:健康時から介護時まで継続的ケアを提供する米国の高齢者施設の概念)を民間開発型で整備する。自立型シェアハウスと特化型デイサービスは、八街市でのCCRC展開の先行実験にも位置づけており、これらの運営で得たノウハウを、八街市のCCRCの創設、運営に役立てる。同社では、首都圏や大都市近郊で、CCRCを複数展開する計画であり、また、社名変更もCCRCを最大の事業目標に掲げているためであると説明した。

ユニマット青山ビル(左)と(仮称)ユニマット青山本社ビル新館
ユニマット青山ビル(左)と
(仮称)ユニマット青山本社ビル新館
 同社では、これらの新規事業はほんの一部に過ぎず、様々な事業をもっと提案し、期待を上回るサプライズを提供していきたいとした。

 なお、ユニマットグループの(株)ユニマットゼネラルでは、ユニマット青山ビルの隣接地(南青山2-163-1)で、(仮称)ユニマット青山本社ビル新館の新築工事を進めている。建物は、S造り地下1階地上11階建て延べ2704m²(敷地面積350m²、建築面積304m²)の規模となり、16年6月1日の完成予定である。用途は物販店舗、飲食店舗、事務所としている。設計施工は東急建設の担当。
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