商業施設新聞
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第6回

矢作地所(株) 開発本部部長 奥村敬氏


名古屋港湾に“メーカーズピア”
第II期はダウンタウンを形成

2015/12/8

矢作地所(株) 開発本部部長 奥村敬氏
 矢作建設グループの一翼を担う、総合不動産デベロッパーの矢作地所(株)(名古屋市東区葵3-19-7、Tel.052-937-7223)は、GCDS JAPAN(株)と共同で、名古屋市港区の金城ふ頭に商業施設「(仮称)Maker's Pier(メーカーズピア)」の建設を計画している。2017年春の開業に向けて準備を進めている、同社の開発本部 部長の奥村敬氏に話を聞いた。

―― 貴社の事業内容を。
 奥村 新築分譲マンション事業、宅地開発事業、不動産流通事業、賃貸事業の4つの事業を柱にしており、中でも新築分譲マンション事業は、「バンベール」ブランドとして展開し、14年12月に供給戸数1万戸を達成した。商業施設に関しては、直近では複合ショッピングセンター「リソラ大府」や駅前再開発ビル「ソラト太田川」の開発などを手がけてきた。
 17年は当社の創立50周年にあたる。その目玉事業のひとつとして、「LEGOLAND JAPAN(以下レゴランド)」のオープンに合わせ、その隣接地に「メーカーズピア」を開発する。このネーミングは、金城ふ頭が「モノづくり文化交流拠点」に位置づけられていることにちなんだ。

―― メーカーズピアの概要について。
「Maker
「Maker's Pier」の完成予想図
 奥村 「金城ふ頭緑地」の名のとおり、高木が多い緑豊かな環境を生かし、一般的なモール型ではなく、一店一店が独立する街をつくる。第1期は全体敷地面積3万3000m²のうち、2万4000m²を開発し、40~50店(延べ約9400m²)を誘致する。16年2月に着工し、17年2月末に完成、同年春の開業を目指している。施設全体は、某食品メーカーがアンカーテナントとして入る「テーマ館」のほか、「フォレストガーデン」「セントラルパーク」「アップタウン」の3つのコンセプトゾーンで構成される。

―― コンセプトゾーンの詳細を。
 奥村 フォレストガーデンは、森の中に平屋建ての職人工房が点在しているような風景を創り出す。セントラルパークは、芝生広場と踊る噴水を囲むように、エンターテインメント要素が高いレストランを集積したい。アップタウンは、メーカーが未来を発信するような施設や、ものづくりをコンセプトにした店舗を集積し、非日常的なショッピングを楽しめる街とする。なお、テーマ館はできたての商品を食べるコーナーや、商品づくりを体験できるコーナーなどを備えた、体験型食育施設を目指している。

―― テナントリーシングの状況について。
 奥村 飲食店を中心に、すでに300社へ出店を打診しており、良い感触を掴んでいる。15年11月よりテナントのリーシング活動を本格化させ、リテール、ダイニング、エンターテインメントをバランスよく整備したい。

―― 店舗以外に導入する機能は。
 奥村 レゴランドを訪れる子供たちに向けて、非日常的な空間の演出を随所に施す。施設の導入個所に高低差6mのすべり台を、中高木にツリーハウスを、そして音楽に合わせて踊る噴水を設置するほか、芝生広場ではイベントの開催なども計画している。

―― ターゲット層や集客目標について。
 奥村 年間180万人以上の集客を見込むレゴランドの来場者はもちろん、カップル、シニア層、女性グループのほか、モノづくりのコンセプトに共感いただける“こだわり層”や、年間150万~200万人が訪れる隣接の「ポートメッセなごや」のビジネスユース層も重要なターゲットである。施設としては、年間300万~500万人の集客を見込む。

―― 第2期計画は。
 奥村 第1期の開業後速やかに、9000m²の敷地に「ダウンタウン」というネーミングの街を構築したい。詳細については今後となるが、施設を大幅にパワーアップさせるものとする。

―― 最後に、抱負を。
 奥村 これまでの商業施設開発は、施工のみであったり、保有しても数年で売却したりしてきたが、今後は長期保有も見据え、事業を展開する。また、従来の商業施設の底地保有事業の拡充や、ホテルの開発にも取り組みたい。今回のメーカーズピアは、愛知県湾岸エリアの活性化の一助となることを確信している。

(聞き手・大阪支局長 岡田光)

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