商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
No.554

消費者に支持されるのは


岡田 光

2016/4/26

 中部地方の雄、ユニー(株)の担当記者を5年間務めてきた。その間、「テラスウォーク一宮」や「デリスクエア」など、旗艦SCや新業態SCの開業に立ち会ってきたが、どこも施設づくりやテナント誘致に様々な工夫があり、お客さんが長蛇の列を作っていた。“開業景気で盛り上がるのは当たり前”という声もあるかもしれないが、それでもお客さんの入り具合を見た担当記者としては拍手を送りたい気分だ。

 ユニーグループ・ホールディングス(株)は4月13日、ウェスティン ナゴヤ キャッスルにおいて、最後となる「平成28年度ユニーグループ会」を開催した。同会には所属する721社(取引先なども含む)のうち、実に651社/1331人という大勢の会員が出席。多くの人が固唾を飲んで見守る中、ユニーの代表取締役社長を務める佐古則男氏は、「2016年度 ユニーグループの方向性」と題して挨拶を行った。

平成28年度ユニーグループ会の様子
平成28年度ユニーグループ会の様子
 佐古社長は総合スーパー(GMS)事業の再建に向けて、《衣料》《住関》《食品》《フードコート》とした品種ごとの売り場(GMS)から、《衣料+住関》や《食品+フードコート》のような一体型で提案する売り場(LMS)に転換することを表明。加えて、(1)直営惣菜の強化、(2)衣料・住関の「ライフスタイル提案」「五十貨店化」、(3)直営坪数の適正化、という3つの施策を打ち出すことを明らかにした。

 確かに、(1)の惣菜は共働き世帯や単身世帯の増加で需要は増え続けており、他のスーパーマーケットも力を入れているカテゴリーだ。てこ入れを図るのは当然かもしれない。しかし、(2)と(3)に関しては、少々疑問が残る。というのも、記者に配られた資料では(2)について、ライフスタイルの提案により同質化競争から脱却し、独自性による差別化を図るためパワーカテゴリーを拡大する、と書かれていた。一方、(3)では衣料・住関の売り場を適正坪数まで圧縮し、テナントを追加で誘致するほか、衣料・住関の垣根を排除した売り場を構築する、と記載されていた。要するに、販売不振にあえぐ衣料品と住居関連品の売り場を縮小・整理するという意味である。

 しかし、この2つの施策は、個人的にはあまりいい結果を生み出さないと感じている。例えば、衣料品業界では勝ち組とされてきた「ユニクロ」の勢いに陰りが出る一方、「しまむら」は息を吹き返しつつある。この現象はなぜ起きたのか。様々な要因が考えられるが、その一つに“価格”があるだろう。アベノミクスの影響で日本経済は回復に向かい、円安も進んだ。が、長年のデフレで価格に敏感な消費者には、少しでも安い商品を求めるという意識が根強く残存している。そのため価格という側面だけで見れば、値上げを推し進めたユニクロは失速し、2000店記念セールなどで自社の価格に対する強みを打ち出し、低価格路線をはっきりと訴求したしまむらは好業績を収めることになり、結果、明暗が分かれた。

 GMSも同様である。質の良さはもちろん、安さを追求することを忘れてはいけない。多品種の商品を大量に仕入れ、大量に販売する方式は古い手法と捉えられることもあるが、業態の強みがそこにある以上、価格の見直しは絶対に避けて通れないものだ。またユニーのGMSは駅前に立地している施設が多くあり、高齢化社会の進展などを考えると、その立地の良さに改めて気づく日が来るかもしれない。価格の優位性に立地の良さが加われば、消費者から高い支持を得られるだろう。

 消費者が低価格を求める以上、それに応えるのが企業の使命である。しまむらは低価格路線で回復を果たし、その結果、改めて自社に求められているものが明確になったという。では、ユニーに求められるものは何か。価格か、立地か、また別のものか。同社GMS事業の再建に期待したい。
サイト内検索