商業施設新聞
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No.559

新設道路で街と生活に変化


永松 茂和

2016/6/7

 これ以上変わりようがないと思われた家の周辺環境が大きく変わろうとしている。外環自動車道の埼玉・三郷南インターチェンジ(IC)から、千葉・市川の東関東自動車道につながる高谷ジャンクション(JCT)が2017年度に開通する見通しとなったからだ。

急ピッチで工事が進む外環自動車道
急ピッチで工事が進む外環自動車道
 そもそも3環状9放射のネットワークが計画されたのは今から約40年前で、以来、東名、中央、関越、東北道など放射方向の高速交通網は整備されてきたが、環状方向は整備が遅れていた。三郷南JCT~高谷JCTは、わずか16kmの区間であるが工事が難航し、このうち市川市の区間は8kmしかないものの、住民や市をあげての反対活動や、民主党への政権交代による事業仕分けにより用地買収が難航したことなどが工事に影響したとを記憶している。

 ところで、この外環道路は自宅から歩いて1~2分の近距離を通ることになるが、そうなると近くのインターチェンジまで車で5分以内となり、わざわざ混雑する首都高速を使わずに東北道、関越道、中央道、東名道へのアクセスが飛躍的にアップするため活動範囲は大幅に広がる。ネクスコ東日本によれば外環の千葉県区間が開通すると、湾岸道路から常磐道まで現在40分かかるところが15分に短縮され、東北道までは30分、関越道までも50分に短縮するとしている。具体的には埼玉スタジアム2002まで、これまでの75分から整備後は40分短縮の35分で行けるため、非常に利用価値が高い道路となる。

 反面、道路までの距離が近いため、騒音、排ガスなどの環境の悪化が懸念されるところ。この点において住宅街の多い千葉県区間では高速道路部分を地下に配置し、その上にバス路線としても使用する国道298号線が通ることになる。重要な環境部分については、自転車道、歩道、地域内自動車交通のための副道と本線や国道との分離のための防音壁を設置したうえで、植樹帯を構成するという。実際にこの措置が環境に影響するかはわからないが、植樹帯の外側に副道、その外側に自転車道、歩道を配置するため本線から多少遠くなり、距離感は出るだろう。

 これまでなかった歩道はウォーキングコースやジョギングにも活用できるし、自転車道を使えば、少し遠くまで危険を伴わずにサイクリングができるので行動範囲が広がるのはうれしい。聞くところによると、外環道路沿いには市川市が約1万7000m²を活用し、延べ床面積約1700m²の「道の駅」を整備する計画が進んでいる。市川産の梨、いちかわバラ物語などの地域特産品を販売する拠点として活用するという。

 「道の駅」といえば田舎に作られるイメージがあったが、散歩やサイクリングの絶好の休憩所にもなることで、道路と合わせ利用価値は非常に高い。道路は街や生活を大きく変えるのを実感する。
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