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カーブド対応がタッチ部材を変える


~「第32回IHSディスプレイ産業フォーラム」開催(3)~

2017/1/20

主席アナリストの大井祥子氏
主席アナリストの大井祥子氏
 大手調査会社のIHSマークイットは、1月25~26日に国内最多の受講者数を誇るFPD市場総合セミナー「第32回 IHSディスプレイ産業フォーラム」を東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)にて開催する。本稿では、その注目の講演内容を登壇アナリストに全3回にわたって聞く。第3回は「タッチパネル&次世代インターフェイス市場」を担当する主席アナリストの大井祥子氏に話を伺った。


 ―― スマートフォン(スマホ)の液晶から有機ELへのシフトでタッチ技術がインセルからオンセルに変わりそうですね。
 大井 オンセルというより「エンベデッド」と呼ぶ方が適切になりつつある。ガラスベースの有機ELディスプレーではタッチパネルメーカーから調達したフィルムセンサーを貼り付けていたが、カーブドを実現できるフレキシブル有機ELでは、サムスンの「Y-OCTA(ワイオクタ)」技術に見るように、既存の部材に直接タッチセンサーを形成し、ディスプレー製造工程でタッチ機能も作り込むようになる。先行するサムスンのソリューションに後発パネルメーカーがどう追随していくかが焦点になる。

 ―― エンベデッド化では様々な構造が検討されているようです。
 大井 現在は円偏光フィルムや反射防止フィルムに銅配線を形成するケースが主流だが、薄膜封止(TFE)を用いずにバリアフィルムで封止する構造では、バリアフィルムにタッチセンサーを形成するというアプローチもある。
 ディスプレー各社は、カーブドに続いてベンダブル、フォルダブルな有機ELを実現するため、フィルム部材の機能統合による薄型化を強く求めている。将来的に円偏光や反射防止、バリアといったフィルムは機能統合で使用枚数や積層構成が変化する可能性が高く、どれにタッチ機能を形成するのが主流になるのか、まだはっきりしない。

 ―― 技術が確立されるには時間を要しそうです。
 大井 ディスプレーの仕様に偏光板などを合わせ込む必要があるうえ、設計期間の長期化や設計変更への対応、サプライチェーンの構築などに困難がつきまとう。偏光板に成膜する場合は低温成膜プロセスが求められるため、将来的にはスパッタのほかに、転写法など他の技術に移行する可能性もある。OCA/OCRなどの粘着剤やカバー材料のイノベーションも必要だろう。ただし、いずれにせよ生産性が高いことが必須条件だ。

 ―― ベンダブルやフォルダブルを実現するには、ITO代替材料の採用が不可避では。
 大井 ITOでは折り曲げに対応できないため、銅メタルメッシュや銀ナノワイヤーの採用が増加するとみている。ただし、現状では大型タッチパネルや高感度が求められる用途のみに採用が限定されており、まだ静電容量方式全体の1%に満たない。

 ―― 車載市場におけるタッチ技術の動向については。
 大井 まだ過渡期だ。内装デザインとの融合を進めるには、液晶や有機ELなどディスプレーの種類を問わずカーブドパネルが不可欠で、視認性をアップするためスマホ用よりも高い反射防止機能が求められるケースも出てくる。確かに車載市場は伸びしろが大きいが、自動車メーカーの考え方に左右されることに加え、「コストアップしないことが条件」となると、既存技術のなかですら選択肢は限られる。

 ―― タッチパネルの新たな用途を開拓していく必要がありますね。
 大井 パネルではないが、空中に映像を結像させる3Dホログラフィックディスプレー技術に期待している。触覚などを付加して映像を操作できる技術が実現しつつあり、今後の発展次第で新たなインターフェースになる可能性がある。また、ディスプレーの表面電位で触覚を演出する技術にも注目したい。

(聞き手・編集長 津村明宏)



「第32回 IHSディスプレイ産業フォーラム」の詳細情報はセミナー事務局(E-mail : technology.events@ihs.com、Tel.03-6262-1824)まで。
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