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No.606

九谷焼と歌舞伎の「いよっ小松!」


笹倉 聖一

2017/5/16

 「イオンモール新小松」の開業で、石川県小松市を取材で訪れる機会が数回あった。同市は、加賀地方の伝統工芸品である「九谷焼」、曳山による「歌舞伎」を江戸時代から継承している。同県の九谷焼美術館によると、九谷焼は大聖寺藩を治めていた前田利治公のもとで、1655年に作り始められた磁器。鉱山開発中に領内の九谷村で磁器の原料となる陶石が発見されたことで、磁器を焼く窯が同地に築かれ、九谷焼と名付けられたとされている。

 一方の歌舞伎も、江戸時代から「曳山子供歌舞伎」が脈々と受け継がれてきた。前田利常公が、1640年に加賀藩小松城に隠居すると、城下に武士・職人・商人が住み始め、小松の産業や文化が発展し、曳山子供歌舞伎は、町人文化と財力、心意気、職人技を結集して1766年から始まり、250年以上受け継がれてきた。歌舞伎「勧進帳」の舞台になった「安宅の関」は小松市西部の梯川河口にあり(今は安宅住吉神社内に石碑などがある)、歌舞伎のまち「小松」を未来に守り伝える。

 そのような小松市に立地したイオンモール新小松の華広場には、九谷焼の皿108枚を配置した記念碑「九谷五彩柱」が建ち、エレベーターホールには九谷焼の陶板レリーフ(浮彫細工、横6.4×縦3.6m)が設置され、来店客を迎える。陶板レリーフの原画をデザインしたのは小松市立高校芸術コースの生徒18人で、これをもとに九谷焼の作家が絵付けした。

1~3階を貫く九谷五彩柱
1~3階を貫く九谷五彩柱
エレベーターを彩る陶板レリーフ
エレベーターを彩る陶板レリーフ

「いよっ小松!」の掛け声で記念撮影する市立高校芸術コース生徒ら
「いよっ小松!」の掛け声で記念撮影する
市立高校芸術コース生徒ら
 3月24日の開業日には、イオングループから「九谷で彩る小松の輪」感謝状が高校生らに贈られた。贈呈式には、イオンと提携する吉本興業の芸人がかけつけ、生徒たちを沸かせた。お笑いコンビの「デニス」は、九谷焼と無関係に元気が良く、速いテンポの芸風で高校生たちを笑わせた。司会は芸人の「キクチウソツカナイ。」が生真面目に務め、記念写真撮影の際には、小松市が歌舞伎の町でもあることにちなんで「いよっ小松!」と掛け声をかけ、同店のゼネラルマネージャーの中村澄氏およびお笑い芸人たちと一緒に写真に収まる高校生たちは喜色満面だった。小松市の伝統・文化と商業施設を関連付け、次代を担う若い人たちへの継承を、お笑い芸人が盛り上げる、イオングループによる楽しい地域貢献に映った。

 商業施設1階のレストラン街「小松食回廊」には15店が集積し、「金沢カレー」の元祖として“チャンカレ”の愛称で親しまれる「カレーのチャンピオン」が手がける新業態「チャンピオンカレーヌードル」や、北陸の新鮮な魚を使った寿司を提供する全国区の人気店「もりもり寿し」などが出店した。チャンピオンカレーヌードルは、ドロッと濃厚な味わいが特徴で、チャンピオンカレーのルゥを基本にしたスープが、もっちり感のある中太ちぢれ麺によく絡む新ご当地ラーメン。もりもり寿司は、ノドグロや白エビ、ホタルイカ、ボタンエビ、ばい貝など北陸の新鮮で高級な魚をネタにした寿司が回転寿司で食べられる。いずれも九谷焼の食器で味わいたい逸品である。このほかに、ダシ醤油とともに食す「とり白菜」が大人気の「さぶろうべい」(かほく市)なども出店している。

 イオンモール(株)代表取締役社長の吉田昭夫氏は、次期の石川県白山市での新店について「関係機関と調整しながら準備を進めている。開店時期は未定」と記者会見で明かしていた。次は、どんなご当地料理店を集め、いかに地元の伝統・文化を施設で表現するのか楽しみである。
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