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第224回

FLOSFIA(株) 代表取締役社長 人羅俊実氏


酸化ガリ半導体量産化へ
独自技術で開発加速

2017/6/2

FLOSFIA(株) 代表取締役社長 人羅俊実氏
 (株)FLOSFIA(京都市西京区御陵大原1-36、Tel.075-963-5202)は、京都大学で開発された「ミストCVD法」をコア技術とするベンチャー企業である。コランダム構造酸化ガリウム(α-Ga2O3)半導体の研究開発を進めており、2018年内の量産化を目指している。代表取締役社長の人羅俊実氏に話を聞いた。

―― 貴社の設立とα-Ga2O3半導体開発に取り組んだ経緯から。
 人羅 当社は京大の藤田静雄教授が開発したミストCVD法の事業化を目的に、11年に設立された。ミストCVD法は霧状(ミスト)にした原材料を用いて成膜を行う手法で、様々な材料を活用できることに加えて非真空のため低コストが可能なプロセスである。12年に京大でミストCVD法を用いたα-Ga2O3の作成手法が発表されたのを機に、当社で半導体としての事業化を目指した研究開発を開始した。

―― α-Ga2O3の特徴は。
 人羅 5.3eVのバンドギャップ値をはじめ、SiCを凌駕する超低損失を実現可能な物性を持った材料だ。従来は結晶作成が困難とされてきたが、ミストCVD法によりサファイア基板上で実現した。サファイアはコランダム構造を持つ材料であり、α-Ga2O3との親和性が高い。当社は同構造を持つほかのコランダム構造群(ファミリー)に着目し、これらを活用することで半導体デバイスの作り込みにもめどをつけた。バルク型(β)のGa2O3は結晶の高品質化とデバイス作り込みに長期間が必要で、それと比べればスピーディーに事業化が果たせると考えている。

―― これまでのα-Ga2O半導体の開発成果を。
SBDのサンプル
SBDのサンプル
 人羅 ショットキーバリアダイオード(SBD)の試作では、世界トップの低オン抵抗とSiCデバイスに匹敵する高耐圧を実現した。また、TO220パッケージに実装して高速スイッチングを確認した。
 これに加え、α-Ga2O3の課題として挙げられていた熱伝導率の悪さとp型層の形成もクリアした。Ga2O3薄膜と金属支持材料の組み合わせにより、SiCと同等の熱抵抗値を確認した。また、ミストCVDにより成膜でき、α-Ga2O3と組み合わせてデバイス化できるp型材料を発見した。これにより、ノーマリーオフFETの実現への道が開けた。

―― デバイス事業化の計画について。
 人羅 ウエハーを自社、デバイスを外部委託で製造し、当社ブランドとして販売する。耐圧600VのSBDを月30万個規模から量産する計画で、18年内の量産開始を目指して準備を進めている。ウエハー生産用に、当社が入居する京大桂ベンチャープラザ内にクリーンルームを整備した。4インチサイズからスタートするが、技術的には6/8インチも可能だ。将来的には工場設立も検討する。

―― ターゲットとする市場と今後の開発テーマは。
 人羅 当面は家電などの民生市場を狙い、実績を積み上げていく。20年以降をめどに、自動車や産業用などの高耐圧、高信頼性市場に材料特性とコスト競争力を活かして進出を目指す。開発テーマとしてはFETの実用化や1000V以上の高耐圧化、10~20Aの大電流化が挙げられる。パッケージは当初汎用品を使用するが、進出する領域の拡大に伴って物性を最大限に活用する専用パッケージの開発も視野に入れている。

―― ミストCVD法の応用展開にも取り組んでいる。
 人羅 ミストCVDは様々な材料の成膜に適した技術で、外部ニーズに応じた受託開発を行っており、フィルム上へのめっき成膜などの成果が生まれている。主眼はあくまでα-Ga2O3半導体だが、足元の業績を下支えするとともに将来の伸びしろにもなり得る事業と位置づけている。

―― 中長期的な事業目標を。
 人羅 1つのステップとして、20年ごろをめどにIPOを目指している。また、長期的には数千億円の売り上げ規模を目標に掲げている。世界的な地位を持つ半導体材料メーカーの例を見れば、非現実的な数字ではないと考えている。海外メディアや学術誌からも注目されており、今後もα-Ga2O3半導体をリードする立場として期待に応えていきたい。

(聞き手・中村剛記者)
(本紙2017年6月1日号1面 掲載)

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