電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第253回

恐るべき中国半導体はシリコンウエハーにも踏み込む


~「2025年に国産化25%」を掲げ、凄まじい勢いでやって来る~

2017/9/29

 半導体製造装置最大手の東京エレクトロンによれば、いまや世界の半導体工場の新たな設備投資の50%以上が中国エリアにおいて起きていることを示唆する。また、電子デバイス産業新聞の黒政典善上海支局長によれば、2018年にはTSMCをはじめとする台湾半導体企業の設備投資額は、中国半導体企業の全投資額とイコールになるとの驚きの報告が入っている。

 韓国半導体業界では高額で中国企業に転職する人が激増しており、サムスン、SKハイニックスなどから数万人がすでに中国半導体に移籍しているといわれている。平均勤続年数は10~11年の人が中心。ただ、ボトルネックは人材不足であり、その意味でもロボットを活用するケースが増えてくるだろう。

 中国政府を中心とする半導体ファンドには10兆円が集まっているとの情報があり、雨あられの巨額半導体投資が断行されるのだ。16年以降に中国で建設される300mmファブ、200mmファブは実に17工場に及んでおり、世界制覇の野望がはっきりと見えてくる。太陽電池、LED照明を制覇し、3兆円で液晶15工場を立ち上げ、韓国サムスンを叩き潰しにかかっている。さらに、4兆円を投じ有機ELの新工場ラッシュでサムスン、LGを叩き潰すという非情な作戦を用意している。そして、いよいよ仕上げとして半導体制覇に乗り出してきた中国の恐ろしさは深く認識する必要がある。

 そしてまた、ここに来て中国はとんでもない方向性を打ち出している。すなわち、半導体のもっとも重要な基礎材料であるシリコンウエハーの国産化目標を25年に25%に設定するというのだ。


 こうした流れのなか、日本企業のフェローテックは上海工場で17年1月から200mmシリコンウエハーのインゴット&ウエハーの生産を始めた。また、銀川市でも200mmシリコンインゴットの引き上げを始めている。17年内には上海工場を月産15万枚まで引き上げることが確定しているのだ。また先ごろ、シリコンウエハー世界ランク3位の台湾のグローバルウェーハズと技術提携し、杭州市の開発区委員会と半導体ウエハー製造プロジェクトの資金支援に関する提携契約の合意と新会社を設立することも発表した。

 今回の提携および上海工場などの増強を含め、将来的には8インチで月産最大45万枚、既存の5インチ、6インチで月産最大40万枚が構築され、何とトータル月産85万枚の生産体制が確立される。つまりは、フェローテックは中国において300mm以外のシリコンウエハーの最大サプライヤーになっていくのだ。

 シリコンウエハーという分野は、これまで日本勢が圧倒的な強さを見せつけてきたところだ。技術の面でも世界に最先行しており、量産という点でも圧倒的に強い。信越化学がダントツ世界一であり、2番手としてSUMCOも存在感を持っており、世界シェアの5割以上を握るとさえいわれる。13年からシリコンウエハーの生産は徐々に伸びてきているが、ウエハーメーカーの設備投資が追いついておらず、増産対応は19年初めからになってしまう。こうした有望な市場開拓に向けて、いずれは中国企業も300mmウエハーの量産に乗り出してくると考えられ、量産歩留まりは置いておいて、すでに上海では300mmインゴット&ウエハー工場が稼働している。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。30年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『半導体業界ハンドブック』、『素材は国家なり』(長谷川慶太郎との共著)、『ニッポンの環境エネルギー力』(以上、東洋経済新報 社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)など19冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長 企画委員長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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