商業施設新聞
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No.843

消費の多様性がもたらすもの


山田高裕

2022/2/8

 私事で恐縮だが、自分は気に入ったもの、好きなものが世に広まらず早々に消えてしまうという事態をかなり経験している。お米の甘味飲料や、レトルトのサイコロステーキなどはかなり好きだったが、いつの間にか店頭から消えていった。

 レストランのメニューも同様に、自分が好きなメニューはいつの間にか消えているか、以前からあったものでもリニューアルの際に消えてしまうことが多い。メニューにとどまらず、業態自体が消えてしまうことも多々ある。ある大手レストランチェーンがやっていたベトナム料理業態はしばしば通っていたものだったが、あえなく撤退・消滅してしまったときは悔しいものだった。

店頭に並ぶ「ぬれじゃが」
店頭に並ぶ「ぬれじゃが」
 こうしたことが続くと、自分の好みのものはどうせ長続きしないだろう、ジンクスというか疫病神みたいなものじゃないかといった方向へ思考が寄りがちであった。しかし最近は、こうした傾向も少し変わっているように感じる。例えば最近売り出されたカルビーの新ポテトチップス「ぬれじゃが」は、試しに食べてみたところ自分としては実に好みで、何度か繰り返し買っていた。しかしある時から店頭に並ばなくなり、その時は「ああ、また自分好みのお菓子が消えていったのだな」と理解していたのだが、その後調べてみると事実は全くの逆であった。公式サイトでの販売に注文が殺到し、各地の店舗でも品切れが続出するくらいの人気があり、店舗では人気ゆえの欠品が続いているという状況だったのだ。


 こうしたことは飲食業態でも感じている。2018年に1号店を出店した「焼肉ライク」は、最初入った時には自分好みの業態だと感じたものの、「一人焼肉」というこれまでの焼肉店の常識に反した業態は果たして世に受け入れられるのだろうかと不安に思った。だが、蓋を開けてみればかなり好調と聞き、出店も拡大しており、このコロナ禍の時代においても個食需要を捉えているようだ。

 こうした主流からは外れた、マイナー志向とも呼べる商品や業態が世に受け入れられていくのは喜ばしいことだと思う。(世に受け入れられた時点でマイナー志向ではなくなっているのかもしれないが)消費の多様性というものはしばしば言及されることだが、多様性の結果、様々な商品やこれまでになかった業態が生まれていくならば、それは多くの人の利益になるのだろう。
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