石破政権の備蓄米政策から注目が集まり、一時は値下がりしたものの、再び値上がりが続いている日本のコメ。先日、ディスカウントストアの店舗取材で5kg3000円台の商品を見かけたが、それでも高いなぁと感じてしまう。デフレからインフレへと移行している日本だが、主食のコメが値上がりすると、消費意欲そのものが薄れてしまう。世間では「生産者が持続可能な生産ができる価格に、そして消費者も受け入れられる価格に」という話を耳にするが、主食がこの値段では、主菜や副菜に影響を与えかねない。
この動きを受けて、我が家でもコメを食べる回数は減っている。小学校に通う息子は、昼間の給食がコメ中心のため、朝ごはんはもっぱらパンが中心だ。毎朝、目覚まし時計で起きてくると、「朝ごはんはパン、プチ(プチトマト)1個」と叫んでテレビのユーチューブに興じる。かくゆう私も年齢のせいか、朝ごはんにコメを食べる機会が減り、代わりに蕎麦を食べるようになった。妻も朝ごはんはパン派で、「フランスパンが美味しいの」と硬いパンを頬張っている。1歳に満たない娘ですら、朝ごはんはミルクやパン粥が中心で、我が家では朝にご飯を炊かないだけでなく、炊飯器自体を開けない日も多い。パンがスーパーマーケットやドラッグストアで安売りされていることも、朝ごはんのメニューに大きく影響している。
そのような朝ごはんの状況のため、我が家のコメの減る量は緩やかだ。また、妻の実家が米屋を営んでおり、コメが一般家庭よりも安く手に入るので、普段の生活であまりコメの値上がりを意識したことはない。ただ、仕事で出勤した時は外食が多いので、コメの値上がりはひしひしと感じている。これまでは週5日の昼食のうち、週4日はコメを食べていたが、最近は週1日、多くても週2日に抑えている。この習慣は、外食企業の出店記事や新店動向を執筆する記者にとってあるまじき行為かもしれない。
もちろん、コメを取り扱いながら、応援したいと思う外食企業はいっぱいある。例えば、10月中旬に取材した(株)八代目儀兵衛。セブン-イレブンのおにぎりを監修したことで有名な企業だが、同社が新社屋の1階に開設した複合型旗艦店「炊き立て土鍋ごはん OMOYA 八代目儀兵衛」は、コメを味わうのにふさわしい店舗と言える。JR京都線の西大路駅から徒歩15分かかってしまうが、店内はお食事処、にぎりめし販売、精米販売の3つのゾーンに区分され、コメを購入または食する人にとっては素敵な場所だ。中でも、お食事処で楽しめる「炊き立て土鍋ごはん」は絶品。炊き立て土鍋ごはんに使用しているのは八代目儀兵衛の最高峰ブレンド米「翁霞(おきなかすみ)」で、希少品種の「夢ごこち」をベースにブレンドし、コクのある濃厚な甘みが特徴。試食会で2つの炊き立て土鍋ごはんを味わったが、ツヤがあって甘みもあり、コメを食べていると改めて実感できた。
八代目儀兵衛に限らず、外食企業の中にはコメで成長を遂げた企業も数多くある。「半導体は産業のコメ」と言われるなど、コメという言葉は日本の中心に常に君臨してきた。だからこそ、その文化を絶やさず、後世へと長く伝えていけるように、今一度、コメそのもののあり方を議論することが必要だと感じる。値段に一喜一憂する時代はまもなく終わるかもしれないが、その先にコメはどのような時代を迎えるのか、注目していきたい。