電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第327回

君も「まつぶたパラダイスの世界」へ行こう


~伝統と先端技術の街・三重県松阪は肉料理もフルセットのすごさ~

2019/3/22

 三重県松阪は蒲生氏郷が切り拓き、歴史と文化のある街として知られている。国文学の大家であり、『古事記伝』を記した人として知られる本居宣長を輩出した街である。そしてまた、三井グループの創始者の三井高利を生んだ街としても知られている。

 さて一方、松阪という街はフルセットで肉のうまい街なのである。松阪牛は日本一の折り紙付きであり、芸術品と言ってよいほどにうまい。ちなみに山形、神戸、佐賀、長崎、鹿児島など牛のうまいところの知り合いに電話して聞いたところ、「松阪牛はみんな処女の牛だからうまい」と言っていた。

 それはともかく、松阪の鳥肉もなかなかのものである。そしてまた極め付きは「まつぶた」と言われる希少豚がとりわけのうまさなのである。通常、豚は140日で食肉とされるが、これは実に人間の年齢で言えば12歳の肉であり、まだおいしい豚になっていないのだ。しかして「まつぶた」は220日間の長期肥育であるからして、人間で言えば20歳のピチピチ肉なのだ。

 業界でも名を知られる、山越畜産の松阪豚専門店を運営する「まつぶた」(三重県松阪市高町220-4、Tel.0598-30-8029)の代表者である橋本妃里さんは、この希少な豚肉に出会った時の喜びをこう語る。

 「実家を建ててくれた大工さんに山越畜産の豚肉をお土産でもらいました。何ともまろやかであり、脂も乗りきって、とにかく超うまいという感動がありました。冷めてもおいしいのです。また臭みもありません。しかしながら松阪牛はブランドになっていても、松阪豚はそうなっていないことに気が付き、起業したいと思ったのです」

「まつぶた」代表 橋本妃里氏
「まつぶた」代表 橋本妃里氏
 橋本代表は地元の松阪生まれ、実家は立ち飲みの酒屋であった。小学校2年生から店を手伝っていたという。松阪商業高校を出て大阪国際女子短期大学で英語を学び、洋服販売の商社に入り、海外のデザイナーをまわっての買い付け、現地生産などに携わった。この仕事はとても楽しかったのであるが、その後は英会話スクールなどいくつかの職業を体験し、松阪に戻り地元のモノづくり企業に勤める一方、有名焼肉店でアルバイトもした。そして山越畜産の松阪豚との出会いにつながるのだ。

 「2016年10月29日にお店を開店しました。フルオーダーセットシステムですから、店頭には置いていません。鮮度を保ち、お客様の希望の厚みにスライスするカスタマイズ方式です。東京の三重テラスや六本木ヒルズの中華料理店に置かれています。大阪ではリーガロイヤルホテルやお好み焼き屋さんに置かれており、地元の松阪市内では30件のお店に置かれています。今後は百貨店、高級スーパー、高級外食店を中心に販路を一気に拡大していきたいと思っています」(橋本代表)

 松阪市は工業出荷という点でも秀でたものをもっており、電子部品の事業所数は三重県内でナンバーワンを誇っている。そしてまたここにきて、松阪市は航空宇宙産業の発展拠点として新たなトライを始めており、国際戦略特区指定を受けて三菱重工業の松阪工場の敷地内に航空機部品生産協同組合を立ち上げている。さらにヨーロッパの自動車材料大手であるゲスタンプが松阪に新工場進出を決めている。

 こうした先端技術産業と伝統文化にクロスオーバーするようにして、松阪の牛、豚、鳥のフルラインアップのロードマップが始まった。とりわけ「まつぶた」は今後の全国ブランド確立に向けて一気拡大を狙うことになるだろう。

 筆者もこれを食してみたが、あまりのうまさに舌鼓を打った。そしてまた横浜の家に持ち帰ったが、「冷めてもうまい」は本当のことであった。ビールを飲みながら「まつぶた」のチャーシューを食べる、というパラダイスに酔いしれている一人なのである。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 社長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』、(以上、東洋経済新報社)、『これが半導体の全貌だ』(かんき出版)、『心から感動する会社』(亜紀書房)、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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