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Report9

埼玉県立がんセンター新病院が完成、高度先進診断・治療装置を集積


田中洋一院長「どこの病院と比較してもひけをとらない拠点病院」が誕生

2013/12/17

埼玉県立がんセンター新病院外観
埼玉県立がんセンター新病院外観
 埼玉県(さいたま市浦和区高砂3-13-3、Tel.048-830-5990=病院局がんセンター建設課)は、埼玉県北足立郡伊奈町で建設していた埼玉県立がんセンター新病院が竣工し、11月30日に完成記念式典を行った。手術支援ロボットの「ダ・ヴィンチ」、放射線治療の「Tomo HDシステム」、「ノバリスTX」といった高精度治療装置などを導入し、病床数も既存の400床から503床へと増床した。高度先進がん医療を実践する病院として日本一患者と家族にやさしい病院づくりを目指す。
 新病院の所在地は、北足立郡伊奈町大字小室780。既存のがんセンター病院の奥側に位置し、隣接して県立精神医療センターが供用している。埼玉新都市交通ニューシャトル丸山駅から徒歩約15分ほどだが、2014年1月からは有料シャトルバスが運行する。今後はJRの上尾駅東口、蓮田駅西口から敷地内に乗り入れる路線バスも運行する予定だ。
 敷地面積は8万597m²(東側駐車場含む)、建築面積1万3888m²で、RC造り地下1階地上10階建て延べ約6万2000m²(本館棟、付属棟)で構成する。病床数は503床で、駐車場は638台を収容する。フロア構成は、地下が診療情報、厚生、供給部門、栄養部、機械室。地上1階が外来(外科系)、救急、放射線診断、放射線治療、内視鏡部門、事務、店舗など。2階が外来(内科系)、外来化学療法、薬剤、リハビリ、生理検査、検体検査、病理診断部門。3階が管理部門と手術、中材、ICU、HCU。4~9階が病棟(4階が個別個室、5~9階が一般病床)で、10階が緩和ケア病棟(全室個室)、11階が機械室となる。病棟の各階にはデイルームなどの団らんスペースもあり、見舞いや来客があったときに利便性が高い。
Tomo HDシステム
Tomo HDシステム
 新病院の特徴は、がん診断と3大治療(手術、放射線治療、化学療法)の強化だ。がん診断はPET-CTや次世代ゲノムシーケンサーなど最新の診断機器を導入し、手術は、手術室を7室から12室に増室して内視鏡手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を導入した。放射線治療も治療室を3室から4室へ増室し、高精度放射線治療装置「Tomo HDシステム」、「ノバリスTX」を県内で初めて導入した。
 化学療法は通院治療用のベッドを43床から60床へ、無菌治療病室を19床から25床へそれぞれ増床した。抗がん剤治療を受けるための施設として60床を有する通院治療センターも備える。また、HCU(準集中治療室)を16床新設し、緩和ケア病床を18床から36床へ倍増するなど、がん医療の拠点機能の強化も実現した。外来は1、2階で受付、診察、検査、治療、会計が完結するので、煩わしさもない。
 院内は2層吹き抜けの「ホスピタルストリート」が開放感を演出しており、周りには相談支援センターをはじめ、カフェ、コンビニ、レストランなどが街並みのように配置されている。自然光が入るつくりになっていて、院内は非常に明るく、木目が多く使われているため落ち着ける雰囲気がある。病室は個室と一般に分かれており、個室は32m²にベッドや応接スペースなどを配置している。
 また、災害に強い省エネ病院として非常用発電機2台、飲料用の井戸水浄化設備などを設置し、災害後3日間自立できるようにした。省エネ面では、LED照明、太陽光発電、コジェネシステムを採用し、新病院を中心として精神医療センター、付属棟、公舎などの周辺県施設とのエネルギーネットワークを構築して約40%の省エネ効果を実現する。
 新病院の田中洋一院長は「最新の医療機器を導入して、どこの病院と比較してもひけをとらない拠点病院となった。埼玉県民の皆さんに役に立つ病院として地域と連携していきたい」とコメントした。
 12月30日に開業予定で既存病院の入院患者を移送する。外来診療は14年1月6日に開始する。
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