商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
第427回

(株)ワールドサプライ 取締役 宮脇秀幸氏


“魅せる館内物流”で施設価値向上
テナントサポート業務も構想

2024/4/16

(株)ワールドサプライ 取締役 宮脇秀幸氏
 2024年4月から、ついに物流・運送業界において働き方改革関連法案が施行される。この「2024年問題」を目前に、商業施設においても効率的な物流・配送網の構築が急がれている。このような状況の中、(株)ワールドサプライ(東京都江東区)は、商業施設で特徴的な館内物流事業を展開し、物流・配送の負担軽減を担っている。また同社は新たな取り組みとして、テナント企業のトータルサポートを行う新規事業を計画しているという。同社の取締役である宮脇秀幸氏に話を聞いた。

―― 館内物流事業について。
 宮脇 多くのテナントを有する商業施設は、その莫大な数の荷物を受け入れて、それぞれのテナントに配送する必要がある。従来、荷物を運ぶ運送業者は荷捌き場にトラックを駐車し、それぞれのテナントに自分たちで受け持った荷物を配達していた。しかしこれにより、長い間荷捌き場に駐車しなければならなくなり、結果として周辺道路の渋滞を起こすこともあった。そこで私たちは、配送業者からの荷物を一手に引き受け、館内のテナントへの配送を一手に担う館内物流事業を11年にスタートした。
 第1号案件は「新静岡セノバ」で、駅前の渋滞発生を抑制したいという施設側の意向と、私たちの提供するサービスがうまくマッチした。23年12月時点で、館内物流事業を導入している施設は100施設を達成している。

―― どんな特徴があるサービスでしょうか。
 宮脇 当社の館内物流事業は“魅せる”ことを特徴にしている。通常の運送業者は、それぞれが所属する企業のユニフォームを着ているが、当社で働く人たちは業務に合わせた“魅せる制服”を着用しており、これがお客様だけでなく従業員からも好評だ。また配送だけをするのではなく、施設の一員として、お客様への道案内など簡単な対応もできるように教育している。配送に関する利便性向上も進めており、電子受領を導入することでスムーズな荷物の受け渡しも実現した。

―― 館内物流以外に清掃なども請け負っています。
 宮脇 館内物流事業によって、施設内に10~20人が常駐していることから、このリソースをさらに活用できないかと考え、17年から清掃や警備に横展開することとした。それぞれ同じく業務に合わせた“魅せる制服”を着用しており、こちらもやはり好評だ。
 昨今は様々な分野で人を雇用することが難しいと言われているが、当社の館内物流、清掃、警備事業では人を募集すると多くの人が集まる。特に女性の割合が高く、全体の約60%を女性従業員が占めている。通常、配送や清掃、警備といったジャンルは特に人が集まりにくい。一方当社の場合は、制服や業務内容といった、まさしく“魅せる仕事”という部分に魅力を感じて応募している人が多い印象だ。

―― 新規事業もスタートします。
 宮脇 今までは常駐している人員を活用して施設側をサポートしてきたが、今度はテナントへのサポート業務を計画している。人手不足により、ワンオペで店舗を運営しなければならず、休憩を取ったりトイレに行ったりすることもできないテナントも多いという。そこで私たちが、テナントに短時間の業務サポートを提供することを考えている。例えば「品出し」「バックヤードの商品整理」「店内の簡単な清掃、陳列」「ゴミ出し」「皿洗い」といった仕事を代わりに担当することを想定している。
 どのくらいの範囲まで業務を担当するかといった詳細はこれから検討していく。施設側からするとテナントへのサポートを導入しているというのは、リーシングの際に大きな強みになるのではないだろうか。

―― そのほかの事業展開は。
 宮脇 商業施設での経験を活かし、大型マンションおよびスマートシティでも館内物流を展開できないかと考えている。大型マンションも、一人ひとりに配達するとなるとかなりの時間がかかってしまい、駐車料金などのコストが別でかかってしまっているという。そこで私たちがマンション内での配達を請け負うことで、効率化が図れるのではないだろうか。
 また、昨今は商業施設に大型マンションが併設していることも多い。そこで併設する商業施設内の店舗は、大型マンションへのフードデリバリーや買い物した商品の配送も請け負うなど、商業施設と掛け合わせた施策も検討していく。

―― 今後の抱負などは。
 宮脇 最近では人材不足に頭を痛めている企業がかなり多いだろう。しかし施設のバックヤードに私たちのようなサポートするチームがいれば、出店する側も心強いと思う。当社の支援を通じて、商業施設が抱える様々な課題解決に貢献し、最終的にはそれぞれの施設の価値向上にも寄与していきたい。

(聞き手・特別編集委員 松本顕介/新井谷千恵子記者)
商業施設新聞2538号(2024年3月19日)(7面)

サイト内検索