商業施設新聞
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第28回

イオンタウン(株) 代表取締役社長 大門淳氏


マーケットに応じたNSC展開
小型版を開発、首都圏にも出店
今後4~5年で200SCへ

2016/5/24

イオンタウン(株) 代表取締役社長 大門淳氏
 イオンタウン(株)(千葉市美浜区中瀬1-5-1、Tel.043-212-6366)は、イオングループのNSCを中心に、マーケットに合わせて大小様々なショッピングセンター(SC)を展開している。郊外ロードサイド型SCのイメージが強い同社だが、最近は小型業態を開発し、住宅地への進出も開始した。首都圏への出店も視野に入れているという。また今後4~5年で同社単独200SCを目指して出店を加速する。同社代表取締役社長の大門淳氏に話を聞いた。

―― 2015年度を振り返って。
 大門 前年度(2014年度)比で、増収増益という結果だった。しかし、出店していただいている小売り店の売り上げは店ごとに好不調があり、全体で見ると若干前年度を下回っている。特に、ファッション系のテナントは厳しかったようだ。

―― 16年度の出店は。
 大門 毎年、約10SCのオープンを目標にしているが、今年度は春と秋に計6、7SCの開業を計画している。また今後、来年もしくは再来年になるが、首都圏エリアなどで「イオンタウン仙台富沢」のような小型店を住宅密集地に出店していく考えを持っている。こうした小型を含め、年間10SCくらいのオープンを目指し、うち2~3割程度は小型SCとしたい。
 当社の通常のSCであれば、標準サイズの食品スーパーマーケット(SM)などが核となるが、小型の場合は、例えば「まいばすけっと」や「アコレ」といったような形もあるかもしれない。これもマーケットに合わせ、様々なことが考えられる。また、スムーズな出店や開発をグループ全体で進めるため、3月にイオン不動産サービス(株)という新会社を設立した。

―― 新会社の役割は。
 大門 全国を対象に、不動産所有者からの情報集約窓口となる当社100%出資の子会社だ。これにより、以前は各事業会社単体に集められていた土地情報がグループで共有できるようになり、効率化や出店加速が図れるようになる。すでに問い合わせ、情報集約などもできている。幅広い情報を一元管理することで、例えば街中から郊外、大規模なものから小型まで出店も進む。全方位に出店対応できる体制を整えている。

―― 小型出店で狙うエリアは。
 大門 東京、神奈川、千葉、埼玉などの首都圏には人口が集中しており、こうしたところに出店したいと思っている。まだまだ出店の余地はたくさんある。例えば物販で1000m²であれば多層階として2、3階にサービス、医療系などを導入して展開することも可能だ。

―― 小商圏はコンビニが競合になる。
 大門 コンビニはコンビニの良さがあるが、当社はSC、複合施設として付加価値を提供できるので、利用者の方にも満足していただけると思っている。

―― 中期的な目標は。
 大門 グループ全体で見ればNSCは当社が運営、展開しているほかに百数十あるが、一つの目安として当社単独で200SC体制を4~5年で達成したいと思っている。前述した小型などを含めるとこれくらい早いペースで開発を進め、オープンしていかなければならない。

―― 三重で新たな取り組みが始まった。
 大門 (株)アクアイグニスなどと協業し、多気町で産学官一体となった新しい取り組みとして、滞在型複合施設を開発する。その運営を通じて地方創生にも貢献していきたいと思っている。ここには温泉や、有名シェフがプロデュースするレストランなど多様な要素を盛り込み、非日常を感じていただける施設としたい。現在、オープン時期は未定だが、20年までには開業したい。
 こうした取り組みをすることで、開発の幅が広がる。すると生活密着型から、非日常体験まで様々な提案ができる。このようなノウハウがグループの資産になれば良い。こういった他社とコラボしたSCは第2、3施設目も検討している。

―― 今後の運営、出店について。
 大門 既存の業態、専門店だけでなく、その地域に合った新しい業態・専門店による新しいSCづくりでの差別化を図っていくことが大切だ。同質化してはお客様に満足していただけない。当社としてはそれを行いつつ、首都圏のSCを増やし、また非日常型のものなど新しいことにもチャレンジしていきたい。


(聞き手・編集長 松本顕介/若山智令記者)
※商業施設新聞2139号(2016年4月19日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.191

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