商業施設新聞
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第45回

キリンシティ(株) 営業部部長 鈴江義典氏


家族層取り込むビアレストラン
内装、商品を磨き客層拡大

2016/9/20

キリンシティ(株) 営業部部長 鈴江義典氏
 キリンホールディングスのキリンシティ(株)(東京都中野区中野4-10-2、Tel.03-5318-6451)が展開する「Kirin-City」(キリンシティ)が、商業施設を中心に出店を拡大している。当初の店舗は、ビジネスマンやOLなどをターゲットにしたパブスタイルだったが、昨今はファミリー層を取り込めるようなレストラン形式の店舗が増えており、売り上げを伸ばしている。営業部部長の鈴江義典氏に話を聞いた。

―― まず歴史からお願いします。
 鈴江 1983年、六本木に1号店を出店した。キリンビールを美味しく飲んでもらおうと、ドイツのビアレストラン「ケーニッヒシティ」をモチーフに、ドイツ式の注ぎ方「3回注ぎ」などビールの提供にこだわったパブ形式の店舗を展開していた。当初はFCが多かったものの、契約終了後は直営店として営業する店舗が多く、現在は直営店が8割以上を占めている。

―― ここ数年で顧客層が変化したようですが。
 鈴江 2012年にコンセプトを整理し、「フロム ブルワリー&ファーム」を展開している。内装は、パブ形式から開放感を重視したビアレストランスタイルにリニューアルした。料理は、ブランド食材に頼るのではなく、各地で見つけた美味しい素材を各店舗の厨房で調理し、提供している。これらにより、家族連れや女性の利用が増えたと思う。

―― 商業施設への引き合いも増加しています。
 鈴江 昔のパブのイメージが変わったことが大きな要因だと思う。80年代の提供料理は9品ほどで、待ち合わせに利用していただけるような店づくりをしていた。はしご酒ではなく1店の滞在時間が伸び、料理をしっかり召し上がるお客様が増えたことで、00年ぐらいに提供料理を80品ほどに増やし、ビアレストランにブラッシュアップした。ターゲット層を広げ多利用動機に対応していくことで、多世代や女性のお客様の来店につながっている。

―― 「キリンシティプラス」も展開しています。
 鈴江 キリンシティと異なる点は、白を基調にした明るい内装と、ランチにサラダビュッフェやカフェメニューを提供するなど、メニューの幅を広げた点だ。
 池袋WACCA店では、女性やファミリー層の来店が多く、特にランチの時間帯のご利用が多い。

―― 店づくりで工夫していることは。
キリンシティタワーホール船堀」の外観
キリンシティタワーホール船堀」の外観
 鈴江 立地や客層によって内装を変える。坪数は40~60坪(席数80~100席)が多いが、ファミリー層が多く来店する店舗は100坪ほどに拡大することもある。15年4月にオープンした「キリンシティタワーホール船堀店」は、住接近店のためファミリー層の利用が多い。100坪を超えており、3世代で利用可能な個室を用意したファミリーでも利用できる内装になっている。
 また照明は以前より照度を上げ、家具も多種類入れデザイン性にこだわっている。例えば、ハイとローの中間の「ミドル」という高さのテーブルとイスを自社で作製し、ご年配の方でも利用しやすいようにしている。またビッグテーブルも製作し、パーティーや2人連れのお客様など多目的にご利用頂いている。

―― 強みは。
店内は個室を用意するなどファミリー利用を意識した
店内は個室を用意するなど
ファミリー利用を意識した
 鈴江 やはりビールの美味さだ。どの店舗でもハードの投資は怠らないようにしており、樽で冷蔵しながら季節によって温度を調整し管理している。
 また、自社資格制度「ビアマイスター」に合格した従業員のみビールを注ぐことができる仕組みとなっており、「3回注ぎ」にこだわりと誇りを持っている。味の均一性に努めており、料理についても「マイスターコッホ」という資格制度で質を確保している。

―― ビールの注ぎ方や手作り料理にこだわる理由は。
 鈴江 メーカーのタッチポイントとしてビールの質にはこだわりたい。そのためには料理の質も高く保つ必要がある。
 例えば、樽の保存には細心の注意を払っているが、樽からビールを流すホースについても冷却機能を付けている。またビールを提供するグラスについても、リップ部分は必ず手洗いするなど、美味しいビールの提供のためには努力を惜しまない。
 料理についても同様で、例えば前菜の「5日間かけた自家製ザワークラウト」は、生のキャベツを各店舗の厨房で5日間かけて調理する。このような生産者の想いにひと手間をかけることで、美味しいビールと料理の提供につながる。

―― 今年度の計画は。
 鈴江 これまでコンスタントに出店を進め、社員も積極的に採用してきた。ここ2年は過去最高売り上げを更新し続けている。今年度は人材育成と、次のステップのための基盤を固め、来年度から出店を加速していく計画だ。

(聞き手・副編集長 高橋直也/石川美佳記者)
※商業施設新聞2156号(2016年8月23日)(8面)
 商業施設の元気テナント No.199

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