商業施設新聞
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第80回

東京ミッドタウンマネジメント(株) 代表取締役社長 中村康浩氏


開業10周年、好調続く
MICE誘致で価値向上

2017/5/30

東京ミッドタウンマネジメント(株) 代表取締役社長 中村康浩氏
 3月30日、東京・六本木の「東京ミッドタウン」が開業10周年を迎えた。2007年に開業して以来、オフィス、商業施設、ホール、ホテル、住宅、医療施設、美術館など様々な機能の導入により集客し、同施設の誕生により周辺の街並みも大きく変わった。運営する東京ミッドタウンマネジメント(株)代表取締役社長の中村康浩氏に、この10年、今後の10年について話を聞いた。

―― この10年間の商業エリア動向について。
 中村 開業した07年度は3500万人が来館し、280億円を売り上げ、順調なスタートを切った。ただ、08~09年度はリーマンショックの影響で伸び悩み、09年度の売上高は218億円まで下がった。その後、持ち直しの兆しを見せていたが、11年の東日本大震災による自粛ムードもあって集客に苦戦し、11年度の来館者数は2700万人となった。
 しかし、13年度に商業店舗を大きく入れ替えるなどして売り上げは急上昇した。その後も順調に伸びており、15年度は過去最高となる290億円を売り上げた。
 16年度は、12月までは15年度を上回り過去最高を記録していたが、1月以降は店舗の入れ替えに向けて一部区画を休業した影響で売り上げは若干減少した。入れ替えが完了する7月以降はまた多くの人に来ていただけるだろう。

―― 開業以降、周辺の街は見違えました。
 中村 開業前は犯罪も多く、街も汚かった。また、六本木は夜の街としてのイメージが強く、ほとんどランチを取る場所がなかった。開業準備に携わった当社の社員は、当時コンビニ弁当でランチを済ますことが多かったと聞く。
 東京ミッドタウンが完成したことで商業エリアの来館者、六本木エリアの美術館巡りをする人、約1万8000人のオフィスワーカー、居住者、店舗従業員などが街区内に滞在するようになり、ランチ需要が生まれたことも変化の一つだ。それにより周辺の外食店もランチ営業を行うようになった。

―― いま東京ミッドタウンでは店舗の入れ替えを行っています。
 中村 10周年事業として新店、改装を含めて25店が新たにオープンする。3月31日に具材などを自らカスタムできるハンバーガー店「ザ カウンター」の日本1号店が開店した。5月にはスターバックスコーヒーの新コンセプト店、7月には「コム デ ギャルソン」が六本木初の直営店を外苑東通りにオープンする。

―― 外苑東通りはファッションエリアになりつつありますね。
 中村 15年、外苑東通りに面した1階にイセタンサローネがオープンした。さらに16年9月には当社が運営管理する複合ビル「トライセブンロッポンギ」内に「バーニーズ ニューヨーク」もオープンした。近隣ではポール・スミスも外苑通り沿いに出店しており、ファッションが集積するエリアとしてのイメージが一層強くなった。

―― 一方で、ファッション業界は苦戦しているという話も聞きますが。
 中村 ありがたいことに、東京ミッドタウンはファッションを含めて満遍なく好調だ。「ザ・リッツ・カールトン東京」も稼働率は9割を超えている。ファッションで言うと、靴や時計など雑貨系が好調と聞いている。シューズブランドの「ペリーコ」の直営店などは非常に人気がある。
 商業エリアは「上質な日常」をコンセプトにしており、高品質なものが揃うことから、ネットでなく店で買おうとする人が多いのかもしれない。美術館や緑地など様々な目的で集客できることも好調な要因だろう。周辺ではマンション開発も進んでおり、ファミリーの来客も目立つ。

―― 緑地でのイベントや集客は同施設ならではです。
 中村 クリスマスシーズンのイルミネーションでは大行列ができる。春は花見もできる屋外ラウンジを出店するほか、緑地で数百人が同時に行うヨガも名物となっている。実は芝生の維持管理がなかなか大変なのだが、周辺住民や来街者の憩いの場になっており、緑地でのイベントは今後も積極的に行っていきたい。

―― 最近の新しい取り組みはありますか。
 中村 MICEの誘致に向けて、DMO六本木という組織が周辺の企業、団体とともに設立された。六本木は当施設を含めて他にもホテルがあり、ホールがあり、飲食店があるなどMICEに活用できる機能が揃っている。ただ、それぞれ小規模、中規模なものが多く、誘致における壁となっている。
 そこでエリア内で横の連携をとり、六本木を一つの施設としてMICEを誘致している。成果も出始めており、今後も推進していきたい。

―― 次の10年の抱負を。
 中村 お客様から「東京ミッドタウンとあろうものが」とお叱りを受けることがある。改善しなければならないと思った一方で、東京ミッドタウンとしての上質な価値が浸透し、お客様からの期待値も高まっていると感じた。今後も東京ミッドタウンの価値を一層“深化”させ、「変わり続ける変わらない街」を目指していきたい。

(聞き手・副編集長 高橋直也)
※商業施設新聞2191号(2017年5月2日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.224

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