電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内

ニッカン工業


塗布・混錬技術で再生医療へ進出

2018/5/18

ニッカン工業のATTRAN 
ニッカン工業のATTRAN 
 ニッカン工業(株)(東京都目黒区大岡山1-35-22、Tel.03-3723-9851)は、フレキシブルプリント配線板(FPC)向け銅張積層板など配線板材料の大手サプライヤー。近年は新規事業の一環として、ヘルスケア・医療分野への進出も目指し、培養細胞シート用キャリア材料「ATTRAN(アトラン)」を開発、医療機関への提案を強化している。

 同社は紙に蝋引きする技術でタバコ・食品包装分野への進出を皮切りに、塗布技術と様々な樹脂を混錬する技術で電気絶縁材料を展開。その後、樹脂を塗布・ラミネートした配線板材料を展開し、現在の主力事業となっている。
 
 加えて、2011年ごろから新たな事業分野とヘルスケア・医療分野への進出を模索し、再生医療に用いられる細胞シートのキャリア材料に着目。強みとする混錬・塗布技術をベースに、細胞シートとの着脱が容易で、かつ生体安全性が高いキャリア材料の開発検討を開始した。
 
 再生医療の現場では、細胞シートをシャーレから患部に移す過程で、現行のキャリア材料では破損するケースが多く、シートをうまく移動できないといった課題があった。同社が開発した「ATTRAN」は、ポリ乳酸基材表面に比較的低温で溶解する特許材料を主成分とした混合体をコーティングしている。高い柔軟性・親水性を有し、セルロースといった既存材料に比べて細胞との親和性や着脱性に優れている。
 
 15年からヒト培養表皮を用いた臨床研究が行われており、病院や細胞シート研究施設に加え、将来的には細胞培養を専門的に行うCPC(Cell Processing Center=特定細胞加工物製造事業所)などにも販売して、再生医療分野に貢献していきたい考え。

(本紙2018年5月17日号5面 掲載)

サイト内検索