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第298回

マイクロンテクノロジー エグゼクティブ・バイス・プレジデント グローバル・オペレーションズ マニッシュ・バーティア氏


メモリー市況「1~2四半期で改善」
広島新棟、年末から生産に寄与

2018/11/9

マイクロンテクノロジー エグゼクティブ・バイス・プレジデント グローバル・オペレーションズ マニッシュ・バーティア氏
 1978年設立のマイクロンテクノロジーは、今年で40周年という節目を迎えている。メモリー好景気の波に乗って、2017~18年は歴史的な高成長を遂げてきた。新会計年度(19年8月期)もスタートし、100億ドルを超える設備投資計画を打ち出すなど、引き続き、積極的な事業展開を見せる。今後の展開について、Executive Vice President Global Operationsの要職にあるマニッシュ・バーティア氏に話を聞いた。

―― まずは、足元のメモリー市況をどう見ているのか、教えて下さい。
 バーティア DRAM市場は10年前と状況が大きく異なる。従来はPCの需要に依存していたが、現在は多角化が進んでおり、スマートフォンやグラフィックス、サーバーなど裾野が広がっている。一部で問題が起こっても、全体でバランスが取れる構造になっており、以前に比べても健全な状況となっている。

―― DRAMは価格下落の懸念が高まっています。
 バーティア 確かにCPUが供給不足に陥るなどの問題もあり、需給環境は軟化傾向にあるが、基本的には短期的、一時的なものだと理解しており、向こう1~2四半期で状況は改善すると見ている。

―― NANDの見通しは。
 バーティア 足元では、NANDの価格は下落傾向にあるが、これによって需要を喚起できるところも大きく、価格弾力性を働かせていきたい。これまで、NANDは2Dから3Dへのシフトによって、ビット供給を大きく増やしきたが、現在は64層から96層といったように、多層化による供給増が中心だ。このため、3Dシフト時に比べて供給増のインパクトは軽微で、今後供給サイドも安定していくものと見ている。

―― 価格反転含めたボトムアウトのタイミングは。
 バーティア あまり詳しい時期などは答えることができないが、19年中には健全なマーケット環境に戻ると見ている。

―― 100億ドルを超える投資を予定しています。
 バーティア まず、19年度投資内容は新しい建屋の建設などの金額が多く、これら部分の投資は前年度比20億ドル増える予定だ。つまり、製造装置への投資金額は前年度とそれほど大きく変わらない。NAND向け装置への投資については前年度比で減少する見通しだ。新しい建屋では広島やシンガポール、マナサス(バージニア州)などが主な案件となっている。

―― 広島新棟の立ち上げ状況は。
 バーティア 1Ynm以降の微細化に対応するため、新しいクリーンルームの立ち上げを進めている。すでに製造装置の導入を始めており、18年末までに生産に寄与する見通しだ。

―― 広島でのもう一段の増強計画などは。
 バーティア 基本的な考え方として、最先端のDRAMプロセスは今後も広島での立ち上げをまずは最初に行っていく。次世代の1Znmなども広島で最初に立ち上げることになるだろう。製造プロセスがますます複雑化していくなかで、クリーンルームの必要面積は増えており、ニーズに応じて拡張投資は広島工場を含めた世界各地の工場で検討していく。

―― シンガポール新棟は計画どおり立ち上げますか。
 バーティア 建屋に関してはスケジュールどおりに進める予定だが、具体的なウエハーアウトプットの時期については市況に応じて柔軟に判断していきたい。

―― 組立・テストなど後工程分野ではインハウス志向が強まっている印象を受けます。狙いは。
 バーティア 現状、アウトソースの割合が過半を超えるが、将来的にはインハウスを主体とした生産体制に移行させていく。メモリーパッケージに関しても複雑化しており、質の高いサービスを提供することが求められおり、社内での比重を高めていきたい。また、リードタイムの観点でもインハウス比率を高めることはメリットが大きいと考えている。

(聞き手・副編集長 稲葉雅巳)
(本紙2018年11月8日号1面 掲載)

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