電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第531回

(株)ブイ・テクノロジー 代表取締役兼社長執行役員 杉本重人氏


半導体装置分野に急速展開
M&A戦略強化で1000億円狙う

2023/6/30

(株)ブイ・テクノロジー 代表取締役兼社長執行役員 杉本重人氏
 (株)ブイ・テクノロジー(横浜市保土ヶ谷区)は、1997年に創業され、FPD装置事業の分野で高シェアを獲る自社開発製品で成長を遂げてきた。さらにいくつかの有力カンパニーをM&A戦略で取り込み、次の成長ステージを狙っている。とりわけ注力するのが、半導体分野への急速展開であり、近い将来の売り上げ目標として1000億円突破を考えている。
 今回は、同社を陣頭指揮で引っ張ってきた創業者であり、代表取締役兼社長執行役員の任にある杉本重人氏にお話を伺ってみた。

―― お生まれおよび略歴について。
 杉本 三重県四日市の生まれであり、防衛大学校理工学部を卒業し、81年にソキア(現トプコン)に入社した。とにもかくにもやりたいことがやりたい、との思いで、97年10月にベンチャーカンパニーとして、ブイ・テクノロジーを創業したのだ。

―― 液晶をコアとするFPDの装置で一大成長を遂げますね。
 杉本 そのとおりだ。PDP検査装置を皮切りに、LCD修正装置に展開し、これは実に累計3118台を売り上げた。さらに、光配向露光装置を開発し、81台を出荷した。その次にはカラーフィルター用露光装置に展開し、583台の出荷実績を築いた。18年には、韓国、台湾、中国などのアジア地域へのFPD関連装置の出荷急拡大により、売り上げは720億円を突破したのである。

―― 半導体装置事業強化を打ち出していますね。
 杉本 残念ながら、FPD装置の設備投資はここに来てシュリンクし、かつ大きく上昇する気配はない。そうなれば、当社がFPD装置で培った技術の横展開を徹底的に図っていく必要がある。また、M&Aでの技術取得も重要だ。そのターゲットは、ずばり爆裂成長が一気に来ると言われる半導体産業分野である。これなくして、当社の復活はあり得ない。

―― フォトマスク分野は半導体への横展開が可能ですね。
 杉本 半導体フォトマスク装置事業は、グループの製品でフルラインアップしていく。23年の売り上げは80億円程度であるが、ここ数年のうちには倍増の160億円に持っていけると思っている。最先端には適応できないが、小型・コンパクトであることから、レガシー半導体には十分に使えるものだ。PMARSは6~8インチウエハーに対応できるものであり、従来比10倍の高精度化を実現している。半導体フォトマスク用欠陥修正装置のPictor、Dracoは、レーザーCVDを用いた装置である。21年からはFIB(集束イオンビーム)を用いた装置を販売している。

―― シリコンウエハー関連にも展開していますね。
 杉本 この分野の売り上げは23年で60億円程度であるが、ここ数年のうちには200億円以上が見込めるとみている。グループの製品でフルラインアップが可能だ。検査はNSS、粗研磨およびラップはZCSET、洗浄はJACというカンパニーがフル活躍できるステージだ。中国はミドルレンジからローエンドの半導体をターゲットにし始めており、中国でのウエハーメーカーもかなりの数で増えてきた。ここは、十分に勝負できるところだろう。

―― レジスト評価などの試作研究分野については。
 杉本 これまたグループの製品でしっかりフルラインアップできる。レジスト評価と塗布現像はLTJ(リソテックジャパン)、マスクレス露光はNSS、成膜はJACが担当する。21年にLTJを完全子会社化したが、このことでR&D用のリソグラフィー装置市場に本格参入できることが大きい。半導体関連の試作研究の売り上げは23年に26億円を計画するが、これまた将来は4倍増の100億円以上が狙えるだろう。

―― プリント基板製造装置にも本格参入しますね。
 杉本 半導体とともに実装するプリント基板は、やはり飛躍的に伸びるだろう。当社はダイレクトイメージング装置を提供することで、本格市場参入する。こうした半導体分野への急カーブを切る一方で、FPD装置も部品ビジネスやリペアビジネスでしっかりと維持していく。飛躍を図るために、中国での関係会社「Z-CSET」をフル活用する。22年に横須賀リサーチパークにイノベーションセンターを設立し、半導体関連の研究開発拠点および初の自社工場を立ち上げた。これもフル活用する。
 こうした新たな製品展開で、全力を挙げて売り上げ1000億円突破を実現していく構えだ。

(聞き手・特別編集委員 泉谷渉)
本紙2023年6月29日号1面 掲載

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