商業施設新聞
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第392回

東急不動産(株) 執行役員 都市事業ユニット 渋谷開発本部 本部長 黒川泰宏氏


渋谷・桜丘、原宿など続々開業
拠点をつなぐ取り組みも強化へ

2023/8/8

東急不動産(株) 執行役員 都市事業ユニット 渋谷開発本部 本部長 黒川泰宏氏
 東急不動産(株)が広域渋谷圏で複数の事業を進めており、今後、次々と竣工する。渋谷・桜丘では総延べ25万m²超の複合施設「渋谷サクラステージ」の完成が迫り、原宿では延べ約2万m²の商業施設『東急プラザ原宿「ハラカド」』が完成する。代官山や代々木公園でも事業が進んでおり、広域渋谷圏がさらに進化する。執行役員で渋谷開発本部本部長を務める黒川泰宏氏に聞いた。

―― 渋谷サクラステージのコンセプトは。
 黒川 桜丘地区は国道246号やJRの線路などで分断され、さらに高低差が大きい地区のため回遊しにくいエリアだった。一方で分断されているため独自のカルチャーがある。そこで回遊性を創出し、カルチャーを後世に残せるような街づくりをしている。

―― どのような機能が入りますか。
 黒川 他の事業者と連携したうえで、歩行者ネットワークとして様々なデッキを整備する。246号をまたぐデッキにより渋谷駅にアクセスしやすくなるほか、JR渋谷駅の改札が桜丘地区側にもできる。JR線路をまたぐデッキもつくり、渋谷ストリームとも直接つながる。縦導線の「アーバン・コア」も整備するので利便性が高まることで周辺の回遊性が向上すると思う。ビル内にはオフィス、商業施設、住宅、国際水準のサービスアパートメントとして「ハイアットハウス」、多言語対応の最先端医療施設、英語や中国語に対応した子育て支援施設、起業支援施設も設ける。

―― 商業区画はどのようなものになりますか。
 黒川 店舗面積は約1万5200m²で、我々が半分弱を運営する。我々が運営するエリアは国内外の人への発信・体験を意識している。商業区画と連動する形でイベントスペース、デジタルサイネージなどを設けており、様々なイベントを仕掛けたい。
 事業としては今年の秋に竣工し、順次開業する。商業は24年夏ごろまでに店舗が出揃う予定だ。

―― 向かいには東急プラザ渋谷があります。
 黒川 デッキの整備を含め駅周辺の回遊性が向上するため、イベントを同時に開催するなど相互送客に取り組んでいきたい。東急プラザ渋谷にはバスターミナルもあり、来街者が渋谷サクラステージに足を運んでいただけるきっかけにしたい。

―― 今年の夏には原宿でも大型事業が竣工します。
 黒川 神宮前交差点の角地に『東急プラザ原宿「ハラカド」』を開発しており、開業は24年春を予定している。施設前の歩行者量は非常に多く、平日でも10万人以上、休日では20万~30万人にのぼる。計画地の近くにあった原宿セントラルアパートはトップクリエイターたちが住み、クリエイターの聖地と言われていた。「ハラカド」では新たな文化発信拠点となることを目指しており、この施設を通じてクリエイターがつくる物や文化をもっとグローバルに発信したい。

―― 地下1階に銭湯を導入します。狙いは。
 黒川 高円寺の小杉湯に「(仮称)小杉湯原宿」として出店していただく。銭湯は施設のコンセプトにもかかわる機能。トラフィックが多いあの場所に銭湯を設けることで色々な人が集まる場となり、そこから交流やコミュニティをつくりたいと思っている。

―― 地上階の取り組みは。
 黒川 2階は様々な文化を発信してきた雑誌を集めたフリースペースで、日本出版販売がプロデュースする。3階はアートディレクターの千原徹也氏が中心となり、“新しい”をテーマにした商品をクリエイター自身が直接来館者に販売するフロア。また、同フロアのコアコンテンツについては、クリエイティブ・ディレクターである大木秀晃氏にプロデュースしていただき、トップクリエイターがプロデュースすることで様々なクリエイターが集まる場にし、ここでも新しい交流を生みたい。5~6階はフードエリアで、フードホールや飲食店などで構成する。7階は大きなテラスがあり、フードホールで買ったものをテラスでも食べられるようにする。

―― 交差点の向かいにも貴社の施設があります。
 黒川 東急プラザ表参道原宿がある。「ハラカド」とともにがっちり連携していく決意を込め、施設名を『東急プラザ表参道「オモカド」』に改称予定。連携に向けてイベントなど色々な仕込みをしている。

―― 広域渋谷圏では代官山や代々木公園でも事業が進んでいます。
 黒川 代官山では「フォレストゲート代官山」として住宅、商業などの複合施設を整備し、今年10月に開業する。特徴的なのはTENOHA棟。カフェやイベントスペースがある場なのだが、サーキュラーエコノミーとして、渋谷の飲食店などから出る食品廃棄物を堆肥化して育てた農作物などを使い、新しい商品をつくることなどを考えている。誰もが集える場とし、ここからサーキュラーエコノミーを発信したい。
 代々木公園はPark-PFI事業として複合整備し、25年2月に供用開始する。飲食店のほか、スケボーパーク、ランニングステーションなどを設け、テーマはスポーツとウェルビーイングとした。計画地は渋谷と原宿をつなぐ中間地点。本施設の整備により、回遊性を高め、エリアをつなぐ役割を果たしたい。

―― 渋谷の街づくりにおける方向性は。
 黒川 広域渋谷圏として拠点の整備はある程度できた。今後はこのエリアやハードをどうつなげるかが課題になる。それに向けて東急不動産では広域渋谷圏において「創造」「発信」「集積」を循環させる取り組みを、街の魅力を高める人や企業とともに積極的に行っていく。創造というのはコンテンツやスタートアップによる共創など、発信はデジタルサイネージなど街全体を媒体にすることなど。「創造」「発信」を加速させていく多様な人、企業を広域渋谷圏に集積させ、これらを循環させる。
 完成した拠点を活かして色々な人が交わるようになると、文化の融合も起き、それが街を成長させていくだろう。

(聞き手・編集長 高橋直也)
商業施設新聞2506号(2023年8月1日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.412

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