商業施設新聞
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No.452

人を採るには……


高橋 直也

2014/4/8

弊社の愛用店。この店は残ってほしい
弊社の愛用店。この店は残ってほしい
 居酒屋大手のワタミが、労働環境を改善するために全体の1割にあたる60店を閉鎖させるそうだ。閉鎖によって生まれた正社員約100人、アルバイト約670人を、他店に振り分けて労働環境を改善するという。

 以前、人材サービス業を何社か取材したことがあるが、アルバイトで働く人は『場所』を非常に重視する。家の近く、通学経路、アクセスの良い駅の近く……。大手企業であっても、大型商業施設であっても通いにくかったら集まりにくいらしい。そのため、郊外の商業施設ではアルバイトの募集が大変になっているという。

 ワタミもターミナル駅なら駅周辺に複数店舗を出店しているかもしれないが、1つの駅に1店というケースも多いのではないか。もともと働いていた店の近くに配属されるとしても、おそらく隣駅などだろう。そうなった場合、670人のうち、どれだけの人が残ってくれるか。「だったら家から近い違う店を探します」という人も多いのでないか。

 そうすると、新しい人を採用することになるが、現在小売店・外食店は非常に採用が難しい時期。各社の出店ラッシュで、採用競争が激化しており、大型商業施設に出店する企業もアルバイトの採用に頭を抱えている。各社ともいかにして自社に、自店に来てもらうか悩んでいるようだ。

 例えばユニクロは、岩手県釜石市の店で時給1100円という同エリアでは破格の給与で人材を募集した。筆者は札幌出身だが、いまでも時給700~800円程度が相場であり、東北エリアも北海道と同程度と聞いている。大学1年生の春、コンビニエンスストアのアルバイト募集広告の『時給950円~』を見て、あまりの高さに驚いたのを覚えている。おそらくユニクロの時給1100円は、地元の人にかなりインパクトがあるだろう。

 ただ時給で差別化するのは企業体力があるユニクロだからこそできる施策であり、どの会社でもできるわけではない。ワタミはアルバイトに逃げられないために、どのような施策を行うのか。
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