2期目のトランプ政権による関税政策は、アメリカ主導の貿易の枠組みを作ろうとしている。
この影響はもちろん韓国にも出ている。「ブルダック炒め麺」が知られ、インスタントラーメン専業メーカーで米国向けの輸出比率が高い三養食品は、米国現地に生産工場を有していないことからトランプ関税に対するタスクフォース(TF)チームを構成し、対応に奔走している。同社の総売上高に占める海外輸出の割合は77%で、そのうちの28%が米国向けである。相互関税の基本税率である10%に続いて、今後、上乗せ分まで課されると、インスタントラーメンの全量を韓国で生産し輸出する三養食品としては、価格リスクが大きいと言わざるを得ない。
韓国の食品メーカーは関税にどう対応していくか(写真は日本でもおなじみの辛ラーメン)
他方、米国現地で生産工場を運営する食品メーカーに大きな動きはない様子。「辛ラーメン」などを製造・販売する農心は、米ロサンゼルスに2つの工場を展開している。24年の米国法人における売上高は5300億ウォン(約541億円)で、両工場の合計平均工場稼働率は60%を下回る。したがって、まだ40%の追加の生産ができる余力があり、三養食品よりも価格競争力では有位な立場にある。また、CJ第一製糖は、米国に計20の工場を稼働しており、さらにサウスダコタ州には新規のKフード(韓国食品)工場を建設していることから、相互関税の影響はほぼないという。
三養食品をはじめとする200社余りの会員を持つ韓国食品産業協会は、現状では協会としてトランプ関税に対応する動きはない。同協会は「米国の関税問題は韓国農林畜産食品省や産業通商資源省など関連省庁で議論すべき事案だ」という立場をとっている。韓国農林畜産食品省は現状、関税庁と産業通商資源省などと相互関税への対応策作りに取り組んでいる。
輸出主導型経済の韓国はグローバリゼーションの恩恵を受けており、経済における世界10位圏内入りを果たした要因でもある。ところが、トランプ関税の嵐が吹き荒れ世界経済のパラダイムが変わることで、韓国経済の今後が懸念される。